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歯を失うことがないように、歯周病の予防と早めの治療を

歯を失うことがないように、歯周病の予防と早めの治療を

人が歯を失うのはどんなときか、ご存じでしょうか。歯周病でグラグラしてそのまま抜け落ちるケースもありますが、実は、その多くは歯科治療での抜歯なのです。抜歯につながる歯周病やむし歯を予防し、早めに適切な治療を受けることが大切です。特に歯周病は、無症状のまま抜歯が必要な状態にまで進んでしまうことがあるため、注意が必要です。

歯を残しておくと危険なほど歯周病やむし歯が進行すると、抜歯治療に

歯科ではできる限り歯を残すことを前提に、治療が行われています。しかし、歯を残すメリットよりも、残した場合のリスクのほうが大きいと判断されれば、抜歯となります。それは主に次のようなケースです。

1)歯周病……歯がグラグラするほど歯周病が進行し、歯ぐきの中の深いところの歯根に付いた歯石(歯周病菌のすみか)が取れない場合、炎症の持続と、大量の細菌が全身に悪影響を与えるため、抜歯が検討されます。

2)むし歯……進行したむし歯を放置していると、細菌感染から歯の根の先端に膿がたまり、重症化すると歯を抜くことが多くなります。また、むし歯が歯ぐきの中の深いところまで進行すると、修復することができず、抜歯せざるを得なくなります。

3)破折(はせつ)……歯が割れる破折のうち、歯の根が割れると、そこから入り込んだ細菌が歯肉や歯を支える骨に広がっていく恐れがあります。このような場合、ひびが入った時点で治すことができず抜歯となります。神経のある歯はほとんど根が割れることはありませんが、神経を抜くと10年ほどで割れやすくなるともいわれています。むし歯は早期に治療し、神経を抜くことのないようにしましょう。

歯を失うケースの約4割の原因は歯周病。歯が少ない人ほど危険大

公益財団法人8020推進財団は2018年、全国の2,345人の歯科医師に協力してもらい、抜歯になった原因を調べました(「第2回 永久歯の抜歯原因調査」)。歯を失うことの多くは抜歯治療によるものであることから、実質的に「歯を失う」原因の調査といえます。

その結果、最も多かったのは歯周病であり37.1%を占めました。次いでむし歯(29.2%)、破折(17.8%)の順でした。

また、以前の同調査の報告書では、「現在の歯が少ない人ほど、歯周病による抜歯の本数や、1人当たりの抜歯の本数が多い」ことなども明らかにされています。これは歯を失うことで、噛み合わせに問題が生じたり、残った歯に過重な負担がかかりがちになることが影響しているとみられています。

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。