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入れ歯やインプラントは、入れたあとのケアが大切

入れ歯やインプラントは、入れたあとのケアが大切

歯を失ったあと、入れ歯やインプラントを入れたら、「もう大丈夫」と放置している人は少なくありません。きちんと手入れをしないと、歯肉に炎症が起こり、インプラントなら抜け落ちる恐れもあります。入れ歯やインプラントも自分の歯と同じように、ブラッシングや定期健診・メインテナンス(健康管理)といったケアが大切です。

入れ歯にもプラークが付着、食後のケア(ブラシ・洗浄剤)と定期健診を

入れ歯には、残った歯に金属のバネをかけて固定する「部分入れ歯」と、口の中の粘膜(歯槽堤:しそうてい)に吸着させて固定する「総入れ歯」があります。どちらの場合でも、入れ歯と自分の歯肉が接触する部分にプラーク(歯垢:しこう)が付着することがあります。

プラークはむし歯や歯周病のほか、カビ(真菌)の一種であるカンジダの感染を引き起こすことがあり、口臭や口内炎の原因にもなります。

これらを防ぐには入れ歯を適切に手入れすることです。同時に、部分入れ歯なら、ブラッシングを中心に残った歯のケアを欠かさずに行い、総入れ歯であっても入れ歯をはずした際に口の中をゆすいだりして清潔に保つようにしましょう。

入れ歯の手入れは食後、自分の歯のブラッシングのタイミングで、入れ歯をはずして行います。水道水を流しながら、入れ歯専用のブラシか、普段使っている歯ブラシで洗浄します。入れ歯の歯と歯の間、入れ歯の裏側、部分入れ歯のバネの部分にプラークがたまりやすいため、とくにていねいに洗浄しましょう。専用ブラシなどで十分に洗浄したうえで、入れ歯洗浄剤に浸すとプラーク除去率が高まります。

入れ歯による痛みやかみ合わせの悪さといった不具合があれば、歯科医院で調整してもらいましょう。とくに問題がなくても、入れ歯の定期健診を受けることが大切です。

インプラント治療を受けた人の約4割に、炎症によるインプラント周囲疾患

インプラントとは、抜歯した、あるいは抜け落ちた歯の代わりに体に埋め込む人口の歯のことです。チタンやチタン合金でできた人工の歯の根(歯根:しこん)を患者自身のあごの骨(歯槽骨:しそうこつ)に埋め込み、その上に連結部品(アバットメント)と義歯をかぶせます。

インプラントを入れた場合、インプラントと歯肉との間に溝(ポケット)ができます。毎日のブラッシングが適切でないと、自分の歯と同じように、ポケット内で歯周病菌が増殖しプラークを形成します。すると、インプラントの歯肉に炎症が起こり、ポケットが深くなってさらに炎症が進むという悪循環に陥り、やがて炎症はあごの骨にまで及び、骨が溶け出します。この一連の炎症はインプラント周囲疾患といいます。

日本歯周病学会が行った実態調査では、インプラント治療を受けた人の43%にインプラント周囲疾患(インプラント周囲粘膜炎33.3%、インプラント周囲炎9.7%)が見られました(日本歯周病学会 「歯周病患者における口腔インプラント治療指針およびエビデンス2018」より)。

インプラント周囲疾患が進行すると、歯周病菌の広がりを防ぐためにインプラントを抜かなければいけなくなったり、土台であるあごの骨が失われてインプラントが抜け落ちる恐れがあります。

佐瀬 聡良 先生

監修者 佐瀬 聡良 先生 (佐瀬歯科医院 院長) 1984年日本大学松戸歯学部卒業。89年千葉県千葉市に佐瀬歯科医院を開院し、現職。2004年より日本大学松戸歯学部歯周治療学講座非常勤医局員も兼務。「臨床家のための実践ペリオセミナー」「歯科衛生士のための実践ペリオセミナー」講師なども務める。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医、米国歯周病学会会員。