歯周病対策は10~20歳代から。年齢を問わず見直しを
成人が歯を失う最大の原因である歯周病は、進行しても痛みはほとんどなく、歯肉の腫れや出血といった症状に対しても無関心でいると見過ごされがちです。厚生労働省の調査では、「歯周病検診で『異常なし』は1割だけ」「20歳代後半の約3割は中等度以上の歯周病が疑われる」といった結果も報告されています。普段の歯周病対策を見直しましょう。
歯周疾患検診で「異常なし」は約1割だけ、4人に1人は「治療が必要」
厚生労働省の令和3年度「地域保健・健康増進事業報告」によると、40歳以上を対象に市区町村が実施した歯周疾患検診で、特に異常がなかった人は10.4%にとどまりました。
これに対して、歯周病の可能性がある「要精検者」とされたのは66.5%(3人に2人)。歯周病の治療が必要な「要指導者」とされたのは23.0%(4人に1人)でした。
以上の数値は、いずれも歯周疾患検診を受けた人に占める割合です。「口の中の健康に無関心な人は歯周病が進行しがちなうえ、検診もあまり受けない」ことを考えると、40歳以上全体では、これらの数値以上に歯周病が広がっている可能性があります。
中等度以上の歯周病の疑いがある人は、20代後半で3割以上、65歳以上で6割前後
同じく厚生労働省が公表した令和4年「歯科疾患実態調査結果の概要」では、歯周病が始まっている可能性がある「歯肉の出血がある人」の割合が最も高かった年齢は40~44歳と45~49歳で、いずれも51.7%でした。
注目したい点としては、10~14歳でも40.2%に「歯肉の出血」がみられたことです。この割合は「加齢とともに増加あるいは減少するような一貫した傾向は認められなかった」とされていますが、年齢に関係なく歯周病対策が必要です。
一方、中等度以上の歯周病が疑われる「4mm以上の歯周ポケット(歯と歯肉の境目の溝)をもつ人」の割合は、全体では47.9%と半数近くを占めました。こちらは「高齢になるにつれ増加していた」とされ、25~29歳で31.6%、45~49歳で43.4%と増え、65~69歳、70~74歳、75~79歳ではいずれも6割前後に及んでいました。「喪失歯がある人」の割合も45~54歳では40.0%ですが、55~64歳では63.7%に急増していました。