かぜや発熱…軽い症状なら市販薬、でも「副作用」には気をつけて
「市販薬の副作用」報告は5年間に1225例、死亡・後遺症例も
かぜや発熱、頭痛などの不調があっても、症状が軽い場合は、ドラッグストアなどで手軽に買える市販薬を活用する「セルフメディケーション」がおすすめです。しかし、市販薬であっても処方薬と同様に、副作用への注意が必要です。
消費者庁によると、2009~2013年度の5年間に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告された「市販薬の副作用」の症例は1,225例で、このなかには死亡例が15例、後遺症が残ったケースも15例含まれています。薬効分類別では総合感冒薬(かぜ薬)と解熱鎮痛薬で半数以上を占めており、これらの薬剤による死亡例は11例、後遺症例も11例でした。
初期症状をよく知り、副作用かなと思ったら使用を中止
総合感冒薬で死亡例・後遺症例が出た副作用には、スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症がありました。これらの初期症状としては高熱、充血などの目の変化、粘膜や皮膚の異常などが知られています。このほか肝障害(倦怠感、発熱、吐き気・嘔吐、かゆみなど)や間質性肺炎(息切れ、から咳、発熱など)、腎障害(尿量減少、むくみ、だるさなど)といった副作用が報告されています。
一方、解熱鎮痛薬で死亡例・後遺症例が出た副作用には、喘息発作(アスピリン喘息)や呼吸障害、心室性頻脈などがみられました。喘息の初期症状としては、呼吸時にゼーゼー、ヒューヒュー鳴る喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難が挙がっています。
消費者庁では、これらの「副作用の初期症状」をよく知っておき、症状に気づいたら、薬の使用をやめてすぐに医師や薬剤師に相談することをすすめています。
薬を選ぶ際には薬剤師などによく相談し、使用開始前に説明文書の確認を
薬局などで市販薬を購入する際には、薬剤師や登録販売者にアレルギーの有無や副作用の経験、持病、併用している薬を伝えたうえでよく相談し、副作用の説明を受けるようにしましょう。また、薬の外箱に記載された注意書きを確認しておくことも大切です。
また、薬の説明文書には、副作用の可能性がある症状を含む、「使用上の注意」などが記載されているため、必ず目を通してから使用しましょう。説明文書に多く記載されている、重くはないものの、よく起こりやすい症状は以下の通りです。
体のかゆみ/発疹/口の渇き/腹痛/吐き気/下痢・便秘/眠気・集中力の低下/動悸/めまい
市販薬を使用後に、これらをはじめとする症状が現れ、その薬を中止したら症状がおさまった場合や、同じ薬を使うたびに症状が出てほかに思い当たる原因がない、といった場合は、市販薬の副作用であることが疑われます。
呼吸抑制の副作用で、「コデイン」を含むかぜ薬の12歳未満の使用が禁止に
副作用が起こりやすいことがわかった薬は、使用禁止となることもあります。例えば、市販の鎮咳薬(かぜ薬)によく使われる「コデイン」という成分を含む薬は、子どもに使うと呼吸抑制という副作用が出やすく危険なことから、2019年7月、12歳未満の子どもへの使用が禁止されました。
子ども用の市販のかぜ薬が手元にある場合、含有成分をよく確認し、コデイン類が入っている薬は、12歳未満の子どもには使わないでください。