紹介状なしのいきなり大病院受診は特別料金がかかる
診療所と大病院、それぞれ機能や役割が異なる
体調が悪くなったとき、「何となく大きな病院のほうが安心だから」「高度な医療が受けられそうだから」などの理由で、いきなり大学病院や総合病院を受診したことはありませんか? 私たちの周りには、町の診療所やクリニックをはじめ、中小病院や総合病院、大学病院など、さまざまな規模や設備の医療機関があります。
診療所やクリニックは、地域に暮らす人の日常的な病気やけがなどに幅広く対応し、手術や入院を必要とする重症患者や救急医療には中小病院や総合病院、さらに高度な医療に取り組む大学病院といったように、医療機関にはそれぞれ機能や役割があります。
しかし、実際には診療所やクリニックで対応できるような病気やけがの場合にも、初診から大病院を受診するケースが少なくありません。それによって、大病院に軽症の患者が集中することで混雑し、待ち時間が長くなったり、重篤な患者への対応などに支障が生じる事態となっています。
紹介状なしに大病院を受診すると5,000円以上の特別料金が上乗せされる
そこで、軽症や日常的な病気の治療は診療所やクリニック、救急や重篤な病気の治療には大病院、といった医療機関の機能の分化を進めるために、紹介状なしで大病院を受診する際に特別料金がかかる仕組みが導入されています(救急時を除く)。診療所等からの紹介状がないまま大病院を受診した場合、初診料のほかに5,000円以上(歯科は3,000円以上)、再診の場合は2,500円以上(歯科は1,500円以上)の金額が上乗せされます。
紹介状なしで病院にかかったときの自己負担額
診療所*1や200床未満の病院 | 200床以上の病院に紹介状なしでかかった場合 | 特定機能病院や200床以上の地域医療支援病院に紹介状なしでかかった場合 | |
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初診料の総額 | 初診料2,880円*2*3 紹介状がなくても特別料金はかからない |
初診料2,880円*3 +特別料金 |
初診料2,880円*3 +特別料金5,000円以上 |
患者負担額(3割負担の場合) | 860円健康保険適用 | 860円健康保険適用 + 特別料金全額自己負担 |
初診料860円健康保険適用 + 特別料金5,000円以上全額自己負担 |
*1診療所は入院ベッド数が20床未満の医療機関。
*2初診料機能強化加算として800円が加算される場合があります(健康保険適用)。
*3医科外来等感染症対策実施加算として50円が加算される場合があります(健康保険適用)。
体の不調を感じたら、まずはかかりつけ医に相談を
「かぜ気味だ」「おなかの具合が悪い」など、体の不調を感じたら、まずは身近な診療所やクリニックを受診しましょう。少し体調が悪いと感じたときはもちろん、専門的な検査を希望する場合などでも頼りになるのが、そういった身近な病院の「かかりつけ医」の存在です。かかりつけ医には、継続的に受診することで、一人ひとりの病歴や体質などを踏まえた診療を受けられるメリットがあります。
また、かかりつけ医は地域の医療機関と連携しており、詳しい検査やより高度な医療が必要になったときには、適切な医療機関を紹介してくれます。かかりつけ医からの紹介を受けて大病院を受診する場合は、特別料金はかかりません。紹介状には既往歴や病状、検査結果などが記載されているため、紹介先の病院で検査の重複を防げるなど、時間と費用を節約できます。
患者さん一人ひとりが症状に合った医療機関を適切に受診することで、診療所や大病院はそれぞれの機能を十分に発揮できるようになります。それによって、患者さん自身も必要な医療をスムーズに受けやすくなることにつながるのです。