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信頼できる「かかりつけ医」を見つけておけば、いざというときも安心

信頼できる「かかりつけ医」を見つけておけば、いざというときも安心

大病院にかかる前に、かかりつけ医に相談を

日本の医療制度では、患者さんの判断で医療機関を自由に選ぶことができます(フリーアクセス)。しかし、このことが大病院への患者の集中につながり、「3時間待ちの3分診療」や、救急医療や重篤な患者へしわ寄せが及ぶ一因となっています。

こうした状況を改善するために、軽症や日常的な病気の治療は診療所やクリニック、救急や重い病気の治療は大病院という役割分担が推し進められています。

自分の症状が軽いのか、重いのか、どこの診療科に行くべきか迷った場合など、まずは身近で頼りになる「かかりつけ医」に相談しましょう。そして、専門的な検査や治療の必要が生じたら、紹介状をもらって大病院で診てもらう、という流れで医療を受けるようにしましょう。

かかりつけ医を持つメリット

●気になる体調変化が生じたとき、深刻な症状でなくても相談しやすい
●必要に応じて大病院や専門病院を紹介してもらえる
●子ども、大人とも、予防接種についての相談に応じてもらえる
●体質や健診結果を把握し、それらも踏まえたアドバイスをしてもらえる
●医師によっては、夜間や休日でも急病時の相談に応じてもらえる
●紹介状を出してもらうことで、大病院や専門病院の初診時の定額負担が節約できる

かかりつけ医を選ぶときの条件

●自宅や勤め先の近くなど、通いやすいところにある
●最新の医療情報に詳しい
●わかりやすく説明してくれ、気兼ねなく話せる

かかりつけ医を見つけるヒント

●厚生労働省「医療情報ネット」をチェックしてみましょう
各都道府県の医療機関、診療科目、診療時間、疾患治療内容などを検索することができます。
医療機能情報提供制度(医療情報ネット)について(厚生労働省)

紹介状を持って受診したほうが患者にはメリットが多い

こうした医療機関の役割分担を進めるため、国では数年前から、大学病院などに紹介状なしで初診でかかった場合、患者から5,000円以上の定額負担を徴収することを義務づけました。さらに、2022年4月の医療費(診療報酬)改定ではこの方針が強化され、金額が7,000円以上に引き上げられ、対象となる病院も拡大されました(実施は2022年10月1日から)。

かかりつけ医に紹介状をもらって大病院にかかったほうが、患者には多くのメリットがあります。

●費用負担が少ない。定額負担(初診時7,000円以上)は健康保険がきかないため、全額自己負担
●紹介状がない場合より、窓口での待ち時間が少ない
●かかりつけ医で受けた検査結果が記載されているため、不要な検査を省略できる

紹介状は、正式には診療情報提供書といい、これには2,500円の診療情報提供料がかかりますが、健康保険が適用されるため、通常は3割負担です。内容には、病名や既往歴(過去に罹患した病気や健康状態のこと)、家族歴(患者本人とその家族の病気の情報を記録したもの)、症状の経過、紹介目的などが記載されているほか、これまでの検査結果が含まれます。

かかりつけ医を持つことで、時間だけでなく、お金も節約することができます。日ごろから何でも気軽に相談できる、かかりつけ医を見つけて、いざというときも安心して受診できるようにしましょう。