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本格的な夏の前でもリスクが。梅雨の合間の熱中症に注意

本格的な夏の前でもリスクが。梅雨の合間の熱中症に注意

湿度が高い、汗腺の準備不足などで、梅雨時は熱中症のリスクが高い

熱中症は、気温の高い日や運動によって体温が上昇したとき、スムーズに体温を下げられず、めまい、頭痛、吐き気などを起こすもので、重症のときは命にかかわることもあります。「真夏でなければ大丈夫」と思いがちですが、梅雨時の6月も注意が必要です。

総務省消防庁が発表した「2021年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」*によると、熱中症で救急搬送された件数は、7~8月が多いものの、6月にも急に増えている週がみられました。その週は沖縄、九州、四国、中国地方が梅雨入りしていましたが、各地でこの年初めての猛暑日が記録されるなど、気温が急上昇しました。

この時期は、汗を出す汗腺の機能がまだ不十分であり、さらに、梅雨時は湿度が高く汗が蒸発しにくいため、汗で体温を下げることができず、熱中症になる人が増えたと考えられます。

屋外で十分な距離があるときはマスクをはずすなど、熱中症予防を

現在も新型コロナウイルス感染症の感染リスクがあり、感染予防に努めながら熱中症対策を行う必要があります。マスクの着用は新型コロナウイルス対策の基本ですが、暑くなるこれからの季節はマスクによって熱中症のリスクが高まるため、注意が必要です。厚生労働省と環境省では、マスク着用・手洗い・3密を避けるなどの基本は守りつつ、熱中症を防ぐために、「屋外で他の人と2m以上離れているときはマスクをはずす」ことを推奨しています。また、マスク着用時は激しい運動を避け、のどが渇いていなくてもこまめに水分を補給しましょう。

これからの熱中症対策

●暑さを避ける……涼しい服装、日傘、帽子などを使用し、少しでも体調が悪くなったら、涼しい場所に移動しましょう。また、外ではなるべく日陰に入りましょう。

●こまめに水分補給を……のどが渇いていなくても1日1.2リットルを目安にこまめに水分を補給しましょう。また、大量に汗をかいたときは、同時に塩分も補給しましょう。

●エアコン使用中もこまめに換気を……エアコンをつけたままの状態で、窓とドアなど2カ所を開けて換気をしましょう。このとき、扇風機や換気扇を併用するとよいでしょう。

●日ごろから体調管理に努める……暑くなり始める時期から適度な運動を毎日30分程度行いましょう。体温測定なども毎日行い、体調が悪いときは自宅で安静にしましょう。

熱中症警戒アラートが出たら、いっそうの用心を

熱中症の危険性が極めて高くなると予想される日の前日の夕方、または当日の早朝に、都道府県単位で「熱中症警戒アラート」が発表されます。発表されたら不要不急の外出は避け、エアコンを積極的に使って室温を調整しましょう。高齢者や子ども、持病のある人、肥満の人は熱中症のリスクが高いので、周囲の人も気を配りましょう。

参考文献