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若年からの喫煙開始は健康へのリスク高。啓発がより重要

若年からの喫煙開始は健康へのリスク高。啓発がより重要

国立がん研究センターが喫煙と健康リスクに関するアンケート調査を実施

毎年5月31日は、WHO(世界保健機関)が定めた世界禁煙デーです。厚生労働省では、世界禁煙デーからの1週間を「禁煙週間」とし、禁煙および受動喫煙防止の普及啓発活動を積極的に展開しています。2022年度は、成人年齢が引き下げられたことや喫煙開始年齢と健康リスクとの関連を踏まえ、「たばこの健康影響を知ろう!~若者への健康影響について~」をテーマに設定しました。5月31日には世界禁煙デー記念イベントを開催し、成人年齢とたばこについての世論調査の結果発表などを行いました。

同調査は、国立がん研究センターが全国の20歳以上の喫煙者・非喫煙者および18歳・19歳の計2,040人に対して、今年4月にインターネットで実施したものです。喫煙開始年齢と健康リスクに関する認識や、たばこを吸ってみたいと思ったきっかけ、受動喫煙対策への意向等について尋ねています。

たばこを吸ってみたいと思ったきっかけは、家族の影響が最も大きい

喫煙開始年齢と健康リスクの認知状況をみてみると、低年齢からの喫煙が疾病リスクやニコチン依存度を高めることを知っている人の割合は、20歳以上全体で4割程度にとどまっていました。

また、「20歳になったときにたばこを吸ってみたいと思った」と回答した人は、20歳以上全体で27.3%でしたが、喫煙者で61.3%、非喫煙者で20.5%と大きな差がありました。吸ってみたいと思ったきっかけは、「家族がたばこを吸っていて、たばこが身近にあったから」と回答した人が最も多く、52.0%いました。

たばこの煙への認識に関する質問では、20歳以上全体で「不快に思う」と回答した人は55.6%。喫煙者だけの回答を見ても、「不快に思う」(16.2%)、「どちらかというと不快に思う」(32.2%)を合わせて約5割でした。さらに、20歳以上全体では「受動喫煙のない社会をめざし、公共空間での喫煙を一律に禁止すべきである」と考える人は41.4%で、「受動喫煙を減らすように、公共空間の喫煙に対する規制を強化すべきである」(27.0%)を大きく上回りました。

低年齢からの喫煙に関する健康リスクへの普及啓発が重要な課題

アンケートでは、今年度から成人年齢が18歳以上に引き下げられたことを踏まえ、喫煙に関する年齢制限についても質問しました。その結果、20歳未満の喫煙は引き続き禁止されていることを知っている人は20歳以上全体で約7割にとどまっていましたが、18歳・19歳では約9割でした。

調査結果の報告を行った国立がん研究センターがん対策研究所は、低年齢からの喫煙に関するリスクの認識は高いとはいえず、「普及啓発が重要な課題」としています。また、20歳になったときに喫煙したいと思うかどうかは家族の影響が大きく、「子どもの周りではたばこを吸わない、たばこを見せないことが重要」としています。さらに、公共空間での受動喫煙対策強化については、より一層の推進が求められる結果となりました。