5歳以上のお子さんも、新型コロナワクチン接種を検討しましょう
小さな子どもの新型コロナ感染者が増えている
2022年8月以降、子どもの新型コロナウイルスの新規感染者が増えており、それに応じて重症化する子どもの患者も増えています。特に基礎疾患がある場合は、重症化するリスクが高くなるといわれています。こうした状況や有効性と安全性に関する情報の蓄積から、日本小児科学会では、健康な5~17歳の子どもへの新型コロナウイルスワクチンの接種を、以前の「意義がある」という表現から「推奨する」という表現に変更しています。
5~11歳の子どもは、ファイザー社のワクチンを使用することとされており、初回接種は1回0.2mLを、通常3週間の間隔で2回接種します。
12歳以上の初回接種では、1回0.3mLを、通常3週間の間隔で2回接種することとされています。5~11歳で接種する有効成分の量は、12歳以上で接種する量の3分の1です。
ワクチンの主な副反応は、12歳以上の子どもと同じく、接種部位の痛みや疲労(50%以上)、頭痛や筋肉痛など(10~50%)、発熱や下痢(1~10%)で、副反応が起きてもほとんどが軽度または中等度で、安全性に重大な懸念は認められていないと判断されています。
インフルエンザワクチンとの同時接種も可能
インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンを同時に接種しても、単独接種と有効性や安全性が劣らないとの報告などがあることを踏まえ、同時接種が可能になりました(インフルエンザ以外のワクチンは、接種後に2週間以上間隔を空ける)。
新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2019~2020年以降、感染対策が功を奏したためか、インフルエンザの報告数は激減していましたが、今年に入って南半球では患者数が急増しています。また、3年間にわたり流行がなかったため、社会全体の集団免疫が低下していると考えられ、日本でも今シーズンは爆発的に患者数が増えるおそれもあります。
さらに、昨年の夏から秋にかけて大流行したRSウイルス感染症の流行が再びあることも心配されます。RSウイルス感染症にはワクチンはありませんが、インフルエンザには生後6カ月から、新型コロナウイルス感染症には5歳以上の子どもを対象にしたワクチンがあります。今シーズンにおける新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、RSウイルス感染症の同時流行の可能性も否定できないなか、これらのウイルスから子どもたちを守るには、ワクチン接種は大きな意味を持つものと思われます。
そのほか、密を避ける、マスクを正しく着用する、こまめな手洗い・手指消毒、といった感染症対策は、小さな子どもが実践するのは困難ですので、子どもの新型コロナワクチンの接種を検討しましょう。
また、ワクチン接種を受ける、受けないはあくまで本人、保護者の意思に基づくものです。ワクチン接種を受けた、受けていないといった理由で、周りの人を悪く言ったり、いじめたり、差別的な扱いをすることがないよう、子どもとのコミュニケーションも大切にしましょう。
そして、ワクチン接種を受けた後も、基本的な感染予防対策は継続することが大切です。