野菜や果物をたくさん食べる人は、死亡リスクが低くなる!?
国立がん研究センターの研究より、死亡リスクが下がることが明らかに
「野菜や果物は健康によい」とよく聞きます。実際に多くの研究で、野菜をたくさん食べている人ほど脳卒中や心臓病になるリスクが低い、という結果が出ています。果物も、摂取量が多い人ほど循環器疾患のリスクが下がることがわかっています。
それでは、野菜や果物に死亡リスクを低下させる効果はあるのでしょうか。
国立がん研究センターと横浜市立大学などで構成されるグループが、1990年と1993年に岩手県二戸(にのへ)、長野県佐久、沖縄県中部などの11保健所の管轄区域に在住していた40~69歳の男女約9万5,000人を対象に、野菜と果物の摂取量と死亡リスクとの関連を調べました。約20年間の追跡調査中に亡くなった2万3,687人を死亡別にみると、がんが8,274人、心血管疾患が5,978人、呼吸器疾患が1,871人でした。
1日あたりの野菜・果物摂取量を5つのグループに分けて解析した結果、野菜・果物の摂取量が少ないグループに比べ、野菜摂取量が多いグループでは、全死亡リスクが約7~8%低く、果物摂取量が多いグループでは、全死亡リスクが約8~9%、心血管死亡リスクが約9%低いことが明らかになりました。
これまでおもに欧米人を対象に行われた同様の研究で、野菜や果物の摂取と死亡リスクの関連が示されていましたが、アジア人ではよくわかっていませんでした。今回の調査によって、日本人も欧米人と同様の傾向があることがわかりました。
野菜は1日350g、果物は1日200gを目標に食べよう
野菜や果物には、ポリフェノールやカロテノイド、ビタミン、ミネラル、イソチオシアネート、葉酸、食物繊維などのさまざまな成分が含まれています。各成分が持つ抗酸化作用や発がん性物質の解毒作用、免疫力を高める働きなどが生活習慣病やがん予防に役立っているものと推測されます。
ただし、果物の食べすぎには注意が必要です。果物に含まれている果糖は、過剰に摂取すると中性脂肪を増やし、肥満の原因となるからです。
農林水産省と厚生労働省が策定した「食事バランスガイド」では、1日350g以上の野菜と、1日200g程度の果物を食べることを推奨しています。また、厚生労働省の「健康日本21(第2次)」でも、1日350g以上の野菜摂取を目標としています。
野菜350gの目安は、生野菜であれば両手3杯、ゆでたものなら片手で3杯程度が目安です。野菜は、ゆでたり蒸すなどして火を通したほうが、かさが減って生野菜よりも多く食べることができます。また、調理の際にドレッシングや調味料をかけすぎると、食塩の過剰摂取につながるので、だしや香辛料、柑橘類などを選んで工夫しておいしく食べましょう。
病気の予防のためにも日ごろの食生活で積極的に野菜をとるとともに、朝食や間食に果物を取り入れてみてください。