健康日本21(第二次)の最終評価、5割強の項目が改善
国民の健康増進を図るための基本的な方針「健康日本21」
先ごろ、厚生労働省は「健康日本21(第二次)」の最終評価報告書を公表しました。「健康日本21」は、正式には「21世紀における国民健康づくり運動」といい、厚生労働大臣が定める国民の健康増進の総合的な推進を図るための基本的な方針として、2000年にスタートしました。2013年度から「健康日本21(第二次)」として新たな目標が掲げられ、2023年度(期間を2022年から1年間延長)までの達成を目指して活動が続けられています。「健康日本21(第一次)」では「一次予防の重視」などを基本方針とし、「健康日本21(第二次)」では「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を最終的な目標として、国民の健康づくりを推進してきました。 健康寿命の延伸をはじめとして、生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底など、5つの基本方針を定め、53項目の目標を設定しています。
健康寿命延伸の目標は達成。メタボ該当者・予備群は増加
このたび「健康日本21(第二次)」の最終評価報告書がまとめられ、各目標について、それぞれ5段階で評価されました。その結果、「A目標値に達した」、「B現時点で目標値に達していないが、改善傾向にある」が合わせて28項目(約5割)、「C変わらない」、「D悪化している」が18項目(約3割)、「E評価困難」が7項目(約1割)でした。
「健康寿命の延伸」をみると、2019年の健康寿命は2010年と比較して男性で2.26年、女性で1.76年延び、「目標値に達した」のAとなりました。一方で、悪化している項目のうち、「メタボリックシンドロームの該当者および予備群の減少」では、策定時(2008年)の約1,400万人から25%減少が目標だったのに対し、最終評価時点(2019年)では約1,516万人と増加しており、「悪化」のD評価となっています。
そのほか、評価のまとめとして、「新型コロナウイルス感染症を機に健康格差が拡大」「データヘルス改革の進展、スマホなどの普及に伴い、健康づくり分野においても最新のテクノロジーを活用する動き」などの課題があげられました。これらは、2024年度以降の次期プランに向けた議論に反映され、方向性が検討される予定です。
「A 目標値に達した」8項目
●健康寿命の延伸(日常生活に制限のない期間の平均の延伸)
●75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少(10万人当たり)
●脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少(10万人当たり)
●血糖コントロール指標におけるコントロール不良者(HbA1cがNGSP値8.4%以上)の割合の減少
●小児人口10万人当たりの小児科医・児童精神科医師の割合の増加
●認知症サポーターの増加
●低栄養傾向(BMI20以下)の高齢者の割合の増加の抑制
●共食の増加(食事を1人で食べる子どもの割合の減少)
「D 悪化している」4項目
●メタボリックシンドロームの該当者および予備群の減少
●適正体重の子どもの増加
●睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少
●生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている者(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の者)の割合の減少