「虫垂炎」ってどんな病気?

「盲腸」と呼ばれるものの、実際には盲腸の先の器官で起こる病気

最近、30代の女性タレントが虫垂炎にかかり、緊急手術・入院していたと報じられました。虫垂炎と聞いてもあまりピンと来ない人は多いでしょうが、「盲腸」「盲腸炎」という通称なら聞いたことがあるのではないでしょうか。

虫垂は、盲腸自体ではなく、盲腸の先に突き出た細長い器官で、ここになんらかの原因で炎症が起こる病気が虫垂炎です。激しい腹痛で手術が必要となる病気のなかではいちばん多くみられ、15人に1人が一生のうちに虫垂炎にかかるといわれています。発症のピークは10代から20代ですが、どの年齢層でも発症します。

 

3大症状は腹痛、嘔吐、発熱

症状の典型的な経過としては、初めは上腹部やへそのまわりが急に痛み出し、吐き気や嘔吐(おうと)、発熱が起こり、その後、痛みが右下腹部に移ります。炎症の程度によって、

(1) 軽い炎症(カタル性)

(2) 膿(うみ)が虫垂に充満しているが、穴はあいていない(蜂窩織炎性:ほうかしきえんせい)

(3) 虫垂組織が壊死(えし)し、穴があいており、腹膜炎や膿のかたまりを伴う(壊疽性:えそせい)
の3段階に分けられます。

 

炎症が軽ければ薬物治療、進行していたらすぐに手術を行う

自然によくなることはなく、放置すれば上記(3)の段階に至って命取りになるおそれもあるため、早めに外科(消化器外科)を受診する必要があります。

上記(1)の段階であれば、抗菌薬による治療も可能です(ただし、1〜2割の患者さんに再発のおそれがあります)。

(2)や(3)と診断された場合は、緊急手術が必要です。最近では、従来の開腹手術のほかに、おなかに小さな穴をあけるだけの腹腔鏡下手術も行われています。

早めに手術を行えば死亡率は1%未満と非常に低く、入院も1週間程度の短期間で済みます。

 

子どもの場合はさらに重症化しやすいので注意

子どもが発症した場合、大人よりも穴があくまでの時間が短いため、命にかかわることも少なくありません。とくに6歳以下の子どもでは、自分で症状を的確に訴えられず、診断が遅れるケースが多くなっています。虫垂炎が疑われる場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。