64歳以下でも「物忘れ」に要注意!「若年性認知症」

全国の患者数は約4万人。早期に診断がつきにくく、治療が遅れがち

2015年1月末に政府が発表した、「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」。これは、今後ますます認知症の患者さんの増加が予想されることから、さまざまな環境整備を目指すものですが、その柱の1つに「若年性認知症施策の強化」が挙げられています。

若年性認知症とは、64歳以下の現役世代に起こる認知症のこと。平成21年の厚生労働省の発表によると、全国に約3万7800人の患者さん(18歳以上64歳以下)がいると推計されていますが、若年性認知症は一般の人はもとより、医療関係者にもまだ十分に知られていません。生活に支障をきたすような物忘れや、判断力の低下が気になっても、本人や家族が「疲れのせいでは」と放置してしまいがちです。また、医療機関にかかっても、うつ病や更年期障害などの別の病気と診断され、治療が遅れてしまうことが多くあります。

 

仕事や家族関係への影響が大きい

若年性認知症の発症年齢は、主に40歳代から60歳代。働き盛りの年齢で発症することから、仕事に支障が出たり、それによって経済的困難に陥りやすいことも問題視されています。さらに、親世代の介護が重なって配偶者などの身体的・精神的負担が大きくなったり、子どもが人生設計を変えざるを得なくなったりと、家族にも深刻な影響を与える可能性が高くなります。

実際に、厚生労働省研究班が行った若年性認知症の生活実態調査では、約7割の人が「発症後収入が減った」と回答しており、また、家族介護者の約6割が「抑うつ状態にある」と判断されています。

今回策定された新オレンジプランにより、若年性認知症に対する相談窓口や福祉サービスが増えたり、就労・社会参加などへの支援が行われることで、それらの実態が改善されることが望まれます。

 

「いつもと違う」と思ったら、認知症も疑ってみる

若年性認知症の原因となる病気は、アルツハイマー病だけでなく脳卒中や前頭側頭葉変性症(脳の前頭葉や側頭葉が縮んでしまう病気)、頭部外傷、脳腫瘍などさまざまです。しかし、いずれにしても早期に診断を受け、原因となっている病気の治療や、症状の進行を抑える治療を始めることが重要です。

本人も家族も、「若年性認知症コールセンター」ホームページに掲載されているような認知症のサインを見逃さないようにし、疑わしい場合は神経内科や精神科など(できれば「物忘れ外来」などの専門外来)を受診しましょう。