結核は過去の病気にあらず。今こそ正しい認識を
現代日本でも年間2万人が新規感染し、2000人が命を落としている
結核は、「過去の病気」と思われがちですが、それは大きな間違いです。日本では、毎年約2万人の新たな患者が発生し、約2000人が命を落としており(厚生労働省「平成26年結核登録者情報調査年報集計結果(概況)」による)、現代でも重大な感染症であることに変わりはないのです。今年に入ってからも、消防本部や医療機関で結核の集団感染が発生し、それぞれ10人以上の感染者が出たことが報じられました。
3月24日は、世界結核デー。今年は「“Unite to End TB”(結核流行の終息のために団結しよう)」をテーマに掲げ、世界のあらゆる関係者が一体となって取り組もうとしています。
かぜのような症状が2週間以上続く場合は要注意
結核は、結核菌に感染することにより、主に肺に炎症を起こす病気です。患者さんがせきをした際、そのしぶきの中に含まれる結核菌が空気中に漂い、それを周りの人が吸い込むことによって感染します(空気感染)。結核菌に感染したからといって、すべての人が発病するわけではなく、発病するのは約10〜20%です。そのうち、約半数は感染から1年以内に発病しますが、残りの人は、数年から数十年経った後、加齢や病気などによって免疫力が弱まったときに発病します。
主な症状は、発熱、せき、痰(たん)などで、かぜによく似ていますが、症状が長期間続くのが特徴です。かぜ薬を服用しても、2週間以上症状が続くようであれば、結核が疑われます。
早期発見で、重症化と感染拡大を防ぐ
結核と診断された場合は、結核菌を除去する薬を6カ月間服用すれば治ります。ここで重要なのは、定められた期間、きちんと薬をのみ続けること。症状がおさまったからといって、途中で服薬をやめてしまうと、治すことができません。そればかりか、薬に抵抗力を持つ「耐性菌」が新たに生まれ、薬がまったく効かなくなってしまう危険もあります。結核と診断されたら、医師の指示に従い、正しく薬を服用することが大切です。
結核は、早期に発見し、適切な治療をすれば治すことのできる病気です。重症化を防ぎ、周囲に感染を拡大させないためにも、2週間以上せきや痰が続くようであれば、早めに医療機関で受診しましょう。