30代40代でも発症する腎臓がん。喫煙・肥満男性は特に注意
長時間同じ姿勢でいることで静脈に血の塊ができ、肺の血管を詰まらせる病気
先月(2016年4月)、厚生労働省や日本循環器学会をはじめとする循環器系学会などから、熊本地震で被災された方に向けて、いわゆる「エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症・肺塞栓症)」への注意を促す情報が発表されました。
この病気は、長時間足を動かさずにいたときに、血行不良によって静脈に血の塊(血栓)ができることで起こります。血栓の一部が血管を通じて肺まで流れてしまうと、肺の血管が詰まり(肺塞栓)、命にかかわる恐れもあります。
航空機のエコノミークラスでの旅行中に発症しやすいとして、エコノミークラス症候群と呼ばれるようになりましたが、ビジネスクラスや自動車でも、また乗り物以外でも、狭い場所に長時間同じ姿勢でいるときには起こりやすくなります。
高齢、足の病気やけが、生活習慣病、肥満、妊娠中・産後などの人は特に注意
エコノミークラス症候群では、初期には足に赤みやむくみ、痛みが現れます。血栓が肺に詰まってしまうと、胸の痛みや呼吸困難、失神などに陥り大変危険なため、初期症状の段階で気づいて、医療機関を受診することが重要です。
特に、次のような人はエコノミークラス症候群になりやすいため、注意しましょう。
【エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症・肺塞栓症)が起こりやすい人】- ①高齢者
- ②下肢静脈瘤がある人
- ③下肢の手術経験がある人
- ④骨折等のけがをした人
- ⑤がん(悪性腫瘍)のある人
- ⑥過去に深部静脈血栓症、心筋梗塞、脳梗塞等を起こしたことがある人
- ⑦肥満の人
- ⑧経口避妊薬(ピル)を使用している人
- ⑨妊娠中または出産直後の人
- ⑩生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症等)がある人 (厚生労働省「深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について」より作成)
足の運動と水分補給、ゆったりした服装に努める。むくみ防止ストッキングも効果
エコノミークラス症候群を予防するには、時々体を動かすか、足や足指をこまめに動かす運動を行うようにしましょう。厚生労働省では、「足の指でグーをつくる」「足の指を開く」「足を上下にする」「つま先を引き上げる」「膝を両手で抱え、足の力を抜いて足首を回す」「ふくらはぎを軽くもむ」といった運動を推奨しています。眠る際には、足を心臓よりも高くするようにしましょう。
また、水分が不足すると血液がドロドロになって塊ができやすいため、できるだけ水分をとるように努めましょう。
ぴったりとした服やベルトによる締めつけは、血行を悪くさせるので、ゆったりとした服装を心がけます。血行をよくする医療用の弾性ストッキングがある人は、トラブル防止のため医師や専門家の指導のもとに着用するようにしましょう。足のむくみ防止目的で市販されている「着圧ソックス・ストッキング」といった商品にも、一定の効果が期待できるとされています。