心筋梗塞や脳梗塞の発症確率がわかるリスクチェックがWebに公開
突然発作が起こり、命の危険や要介護となる恐れのある病気
心筋梗塞や脳梗塞は、心臓や脳の血管が詰まって血流が途絶えることで、心臓や脳がダメージを受ける病気です。突然の発作として起こり、すぐに治療を行わないと命にかかわることがあるほか、一命をとりとめても、なんらかの機能低下や障害が残ってしまうことが少なくありません。長期の入院やリハビリテーション、介護が必要となるケースが多く、本人だけでなく、家族や職場などにも大きな負担がかかる恐れがあります。
ただし、突然の発作とはいえ、予防できないわけではありません。自分のリスクを把握しておき、リスクが高い人はできるだけリスクを下げる対策を行うことで、発症を避けられる可能性があるのです。
現在の健診数値や生活習慣を入力すると、自分の発症リスクがわかる
これまでの世界的な研究の成果により、心筋梗塞や脳梗塞の原因には、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などがあることがわかっています。そこで、これらの組み合わせによって、Web上で発症リスクを予測できる「循環器疾患リスクチェック」が、今月(2016年5月)下旬に公開されました。
これは、国立がん研究センターや藤田保健衛生大学などの研究チームが、多目的コホート研究(JPHC Study)* の調査結果にもとづいて開発したもので、現在40?69歳で、今まで心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞または脳出血)を発症したことがない人を対象としています。年齢や性別、血圧・血糖・コレステロールなどの検査値、喫煙の有無、生活習慣病の治療中かどうかといった項目に答えていくだけで、今後10年間に心筋梗塞と脳梗塞を発症する確率が自動的に表示されます。
特に喫煙習慣があって検査値が高めの人などでは、発症確率が想像以上に高く出て驚く人もいるでしょう。とはいえ、このリスクチェックは、数値を知って恐れるためではなく、予測どおりにならないように対策するためのもの。すぐに健診数値や生活習慣の改善に取り組み、心筋梗塞や脳梗塞から身を守りましょう。
*多目的コホート研究(JPHC Study)…「コホート研究」とは、数万人以上の特定の集団を対象に、嗜好や生活習慣などの調査を行い、その後何年も追跡調査を行うもの。なかでも「多目的コホート研究」は、日本各地の約10万人を対象とし、20年あまりにわたる大規模追跡調査。詳しくは国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループ「多目的コホート研究」を参照してください。