手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱。子どもの夏かぜが増加傾向
過去5年間の同時期より多く発生。ピークに備え予防と対策を
夏に子どもがかかりやすい感染症には、手足口病やヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)などがあります。
国立感染症研究所の報告によると、今年(2017年)は手足口病・咽頭結膜熱ともに過去5年間の同時期より報告数が多い状態が続いており、ヘルパンギーナも6月下旬時点で7週連続増加しています。
これらの夏かぜは、高温多湿を好むコクサッキーウイルスやエンテロウイルス、アデノウイルスなどが原因で起こり、冬の感染症とは特徴や対応が異なります。例年、特に手足口病とヘルパンギーナは7~8月が流行期なので、今後一層の注意が必要です。
発熱のほか、口やのどに痛みが現れる。大人に感染すると重症化することも
手足口病は、その名のとおり、手のひらや足の裏、口の中などに小さな水疱(すいほう)性の発疹(ほっしん)ができる病気です。発熱はあまりみられず、出ても38度前後のことがほとんどになります。
ヘルパンギーナは、突然40度近い高熱が出て、のどの奥や口の中に水疱ができます。熱が下がると同時に水疱がつぶれて潰瘍(かいよう)となり、のどや口の中に強い痛みが出ます。
咽頭結膜熱は、プールでの感染が多いことから「プール熱」とも呼ばれますが、プール以外でも感染します。発熱後、咽頭炎の症状(のどの痛みや腫れなど)と結膜炎の症状(目の充血や目やになど)が現れます。頭痛や吐き気、腹痛・下痢を伴うこともあります。
これらは、感染した子どもの咳やくしゃみなどのしぶき、水疱の内容物、便などに含まれるウイルスによって広がっていきます。予防法としては帰宅後や食事前、調理後などに手洗い、うがいを徹底するのはもちろんのこと、タオルの共用を避けることも大切です。
子どもが発症すると、家庭内で感染し、大人も重症化することがあります。症状がおさまったあとも数週間、便にウイルスが排出されるため、子どものオムツは適切に処理し、入念に手を洗いましょう。また、プールの前や入浴時には、シャワーで子どもの体やおしりを十分に洗うようにしましょう。
症状に応じて家庭で適切なケアを行い、脱水を予防
いずれの夏かぜの場合も、家庭では症状に応じたケアを行いますが、いちばん重要なのは脱水症状を起こさないようにすることです。
子どもは熱が高いときや、のどや口の中に痛みがあるときは、食事どころか飲み物も飲みたがらないことがあります。
こまめな水分補給を行い、食事は、スープやおかゆ、豆腐、ゼリーなど、のどごしがよいものを与えましょう。硬いものや熱いもの、すっぱいもの、塩からいものなどは、のどにしみるので避けましょう。
熱があるときは、首周りやわきの下、もものつけ根などを冷やしてあげると気持ちよいでしょう。解熱鎮痛薬は医師の指示にしたがい、必要時にのみ使います。
いずれも、数日~1週間程度でよくなることがほとんどですが、まれに髄膜炎などの合併症を起こすこともあります。次のような場合や、ようすが急に変わったようなときは、すぐに受診しましょう。
- ぐったりとして呼びかけに反応しないとき
- 呼吸が速く息苦しそうなとき
- 頭痛や嘔吐(おうと)を伴う発熱が3日以上続くとき
- けいれんがあるとき