原因のわかりにくい「めまい」。危険な病気が隠れていることもある
めまいの自覚症状がある人は多いが、原因はさまざま
今月(2017年11月)上旬、40代のタレントが「めまい」を訴えて緊急入院となったことが報じられています。耳の奥の内耳(ないじ)に細菌が入り、体のバランスを保つ「三半規管(さんはんきかん)」という器官が腫れ上がって、めまいやふらつきが起こったとのこと。脳の検査では異常がなく、点滴と薬によって治療を受けているそうです。
日ごろ、めまいを感じている人は多く、厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」によると、男性1000人あたり13.2人、女性では1000人あたり30.2人が「ここ数日感じる自覚症状」にめまいを挙げています。男性では50代以上、女性では20代以上の人に多く見られます。
めまいは、さまざまな原因によって起こります。今回の報道のような感染症や、頭痛、肩こり、心因性、起立性低血圧などが原因の場合もありますが、耳に原因があり聴力の衰えにつながるものや、脳に原因があり命にかかわるものもあるため、注意が必要です。
原因によって、めまいの種類やほかに現れる症状が異なる
めまいを症状で分けると、主に次のようになります。
・回転性のめまい…自分自身がグルグルと回っているように感じる、天井や壁など周囲が回っているように感じるなど
・浮動性のめまい…足元がふらついたりよろめいたりする、フワフワと雲の上を歩いているような感じがする、気が遠くなって目の前が暗くなる(いわゆる立ちくらみ)など
受診時には、これらの症状に加え、他にどんな症状があるか、症状が急激に起こったか、どれくらい続いたか、何度も繰り返し起こっているかどうかなどを医師が確認します。そして、耳や目、脳などの必要な検査を行うことになります。
回転性で特に頻度が高いのが「良性発作性頭位めまい」で、勢いよく振り返ったり頭を上げたりした際に、急激に起こって数十秒で消失します。他の症状はあまり見られません。さほど心配はいりませんが、気になるようであれば受診しましょう。
進行すると聴力を失うメニエール病、命にかかわる脳卒中・脳腫瘍に注意
回転性のめまいに加え、耳鳴りや難聴を伴う病気には、メニエール病や突発性難聴、前庭神経炎などがあります。メニエール病は、過労やストレス、免疫力の低下などにより、三半規管にリンパ液が増えすぎてしまうことが原因で起こるものです。繰り返し発症し、進行すると聴力がおとろえ、やがて失うことがあります。ほかの病気との鑑別も難しいため、めまいが30分~数時間続き、耳鳴り・難聴など他の症状を伴うときには、受診がすすめられます。
一方、めまいに加え、「物が二重に見える」「顔や手足がしびれる」「ろれつが回らない」といった症状や、激しい頭痛がみられるときは、脳に原因があると疑われます。脳卒中(脳梗塞や一過性脳虚血発作、脳出血)、脳腫瘍といった、命にかかわる病気のおそれもあるので、できるだけ早めに受診しましょう。
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