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健康寿命は男性72.14年、女性74.79年に。ロコモと低栄養の予防が大切

健康寿命は男性72.14年、女性74.79年に。ロコモと低栄養の予防が大切

平均寿命の延びを上回って健康寿命も延伸

長寿国で知られるわが国の平均寿命は年々延び続け、男女ともに80歳を越えていますが、「健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)」との差が問題となっています。そこで、「健康日本21(第二次)」(21世紀における国民健康づくり運動)では、平成34年度までに「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」という目標が掲げられています。

厚生労働省では、今月(2018年3月)上旬、最新の2016年の健康寿命とともに、2010~2016年までにおいて前述の目標を男女ともに達成したと報告しました(厚生労働科学研究「健康寿命及び地域格差の分析と健康増進対策の効果検証に関する研究」による)。

健康寿命は3年ごとに算出されていますが、2010・2013・2016年の健康寿命は、男性でそれぞれ70.42年、71.19年、72.14年と、この6年間で1.72年延伸。女性も同73.62年、74.21年、74.79年と、6年間で1.17年延伸しています。

都道府県別では男性は山梨、女性は愛知がトップ

健康寿命を各都道府県ごとにみると、上位3県は男性では山梨県(73.21歳)、埼玉県(73.10歳)、愛知県(73.06歳)、女性は愛知県(76.32歳)、三重県(76.30歳)、山梨県(76.22歳)という結果に。一方、下位3県は男性では秋田県(71.21歳)、愛媛県(71.33歳)、徳島県(71.34歳)、女性は広島県(73.62歳)、北海道(73.77歳)、京都府(73.97歳)となっていました(熊本地震により調査できなかった熊本県を除く)。

各都道府県では健康格差対策を実施しており、健康寿命が最も長い県と短い県の差は男女ともに縮小傾向にあります。しかし、平均寿命が長い県が必ずしも健康寿命も長いとはいえず、今後も健康寿命に影響する要因の分析や、延伸・格差縮小に向けた取り組みが重要であると考えられます。

健康寿命を延ばすには、若いうちから定期的な健診受診・適切な生活習慣を

同発表によると、平均寿命と健康寿命の差である「日常生活に制限のある期間の平均」は、男性8.84年、女性12.34年。この間は医療や介護が必要となり、本人のみならず家族にも心身的・金銭的な負担がのしかかります。

高齢者は慢性的な疾患をもっていることが多く、さらにロコモ(ロコモティブ シンドローム=筋肉や関節などの運動器症候群)や低栄養傾向(BMI 20以下)があると、フレイル(心身の虚弱)やサルコペニア(筋肉減少症)となり、要介護状態に陥りやすいとされています。

健康寿命を延ばすには、働きざかりのうちから定期的な健診・検診受診を欠かさないようにし、病気の発症予防や重症化予防に努めること。さらに、適切な生活習慣(運動・食生活・禁煙)を心がけ、生活習慣病だけでなく、年齢に応じてロコモや低栄養も防ぐことが大切です。