健康づくりの課題は40歳代の睡眠不足・過度飲酒、やせ女性、低栄養高齢者
1日平均6時間未満睡眠の人も、生活習慣病リスク高の飲酒量の人も40歳代に最多
わが国では、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合が男性36.1%、女性42.1%、なかでも男女共に40歳代が最多で、約半数(男性48.5%、女性52.4%)に上る――今月(2018年9月)厚生労働省が発表した、「平成29年『国民健康・栄養調査』の結果」によって明らかになりました。この調査は、健康増進法に基づき、国民の健康増進推進の基礎資料とするために、健康状態や生活習慣について毎年調べているものです。
同様に、働き盛りの40歳代で最も高くなった項目に、「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合」がありました(40歳代男性21.4%、女性15.2%)。生活習慣病のリスクを高める量とは、日本酒換算で男性1日あたり2合(360ml)、女性1日あたり1合(180ml)に相当する量*以上です。毎日飲んでいないものの、週あたりや月あたり合計の飲酒量がこれに相当する人も含まれています。
*日本酒1合(180ml)に相当する量: ビール・発泡酒中びん1本(約500ml)、チューハイ7度(350ml)、ワイン2杯(240ml)、焼酎20度(135ml)、焼酎25度(110ml)、焼酎30度(80ml)、ウイスキーダブル1杯(60ml)
肥満・やせの人の有意な増減はなし。20代女性はまだ21.7%が「やせ」
この調査では、基本項目のひとつとして、毎年「肥満及びやせの状況」を調査しています。それによると、肥満の人(BMI 25kg/m2以上)、やせの人(BMI 18.5kg/m2以下)の割合は、この10年間で明らかな増減が見られませんでした。
わが国では特に、20歳代女性に「やせ」の人が多く、今回の調査でも21.7%という結果に。若年女性のやせは、将来の骨粗しょう症につながる骨量の減少や、低出生体重児出産リスクなどとの関連がわかっているため、「健康日本21(第二次)」では、2022年度までに20%にするという目標が掲げられています。
なお、朝食の欠食率も、男女ともに20歳代が最も高くなっています。やせすぎの女性の生活改善の第一歩として、少量でも朝食をとる習慣をもつことが勧められます。
高齢者の筋肉量や低栄養傾向の差には、食事・身体活動・外出状況などが関係
さらに、今回の調査では、基本項目に加えて高齢者の健康・生活習慣の状況を重点項目としています。そのなかで、要介護リスクや総死亡リスク上昇につながる低栄養傾向(BMI 20 kg/m2以下)の人の割合は、65歳以上の男性の12.5%、同女性の19.6%となっていました。また、特に男性では、外出していない人のほうが低栄養傾向の割合が高いことや、「何でも噛んで食べることができる人」とそうでない人の低栄養傾向の割合の差が大きいことが明らかになっています。
60歳以上の人の四肢の筋肉量の状況を調べた項目では、低栄養傾向の人は筋肉量も低くなっており、サルコペニア(筋肉量低下による全身の筋力低下や機能低下)の危険が高まることが考えられます。しかし、男女ともにたんぱく質摂取量が多い人や肉体労働をしている時間が長い人ほど筋肉量が多いことも明らかとなりました。
やせ気味の高齢者に対しては、健康寿命を延ばす取り組みとして、たんぱく質を多く含む食材を意識してとることや、積極的に外出するなどでできるだけ体を動かすことが勧められます。