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ギャンブル等依存症は精神疾患。早めに専門医を受診し、適切な治療と支援を

ギャンブル等依存症は精神疾患。早めに専門医を受診し、適切な治療と支援を

国としての対策を定めた「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」が閣議決定

今年から、国民の間に「ギャンブル等依存症問題」に対する関心と理解を深めるため、毎年5月14~20日は「ギャンブル等依存症問題啓発週間」となりました。これは、昨年(2018年)10月より施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」に基づいて定められたものです。

この基本法で定義される「ギャンブル等依存症」とは、競馬や競艇などの法律上の公営競技や、ぱちんこ屋にかかわる遊技、その他の射幸行為(くじや賭博、FX、株取引など、偶然に成功や利益を得られる一方で著しく財産を失うこともある行為)にのめり込むことで、日常生活または社会生活に支障が生じている状態のことです。

本人のみならず、家族の生活にも支障が出るほか、多重債務・貧困・虐待・自殺・犯罪等の重大な社会問題を生じさせているとして、先月(2019年4月)、前述の基本法に基づいた「ギャンブル等依存症対策推進基本計画等」が閣議決定されました。

仕事のストレスや孤独感などから陥りやすい。病気であると認識して対応を

ギャンブル等依存症は精神疾患の一つで、アメリカ精神医学会の「精神疾患の診断と統計マニュアル第5版(DSV-5)」にて「ギャンブル障害」と分類されています。「やってはいけないとわかっていても、やめられない」「負けを取り戻そうとして再度やってしまう」「ギャンブル等をやるために、周囲に嘘をついてお金を借りるなどする」などの特徴があります。

仕事がうまくいかないなどのストレスや、孤独感などがきっかけでギャンブル等にのめり込んでしまうことがあり、誰にでも起こりうる身近な問題です。わが国では成人の0.8%に「ギャンブル等依存が疑われる」という調査がありますが、本人自身が「自分は病気ではない」などと正しく現状を認知できなかったり、家族など周囲の人も「あの人は意志が弱いから」と諦めたり対応がわからず放置していることが多くあります。

しかし、時間が経つにつれ症状が悪化して一層やめられなくなり、借金などの問題のみならず、うつ病の発症など健康を害したり、社会問題につながることもあります。特に、若いうちにギャンブル等を始めた人は、のめり込みが深刻になりやすいといわれており、注意が必要です。

医療機関・相談機関などの助けを借りながら、ギャンブル等依存症からの回復と再発防止に努める 

消費者庁では、本人のギャンブル等依存症からの回復に大切なこととして、

  • 小さな目標を設定しながら、ギャンブル等をしない生活を続けるよう工夫し、ギャンブル等依存症からの「回復」、そして「再発防止」へとつなげていく(まずは今日1日やめてみる)
  • 専門の医療機関を受診するなど、関係機関に相談してみる
  • 同じ悩みを抱える人たちが相互に支えあう自助グループに参加してみる

の3点を挙げています。また、家族に対しては、以下を勧めています。

  • ギャンブル等依存症が病気であることを理解し、本人の健康的な思考を助けるようにする
  • 借金の肩代わりは、本人の立ち直りの機会を奪ってしまうため、家族が借金の問題に直接かかわることのないようにする
  • 専門の医療機関や精神保健福祉センター、保健所に、ギャンブル等依存症の治療や回復に向けた支援について相談してみる
  • 消費生活センター、日本司法支援センター(法テラス)などに、借金の問題に家族はどう対応すべきか相談してみる
  • 家族だけで問題を抱え込まず、家族向けの自助グループにも参加してみる

各相談窓口の一覧は、消費者庁のホームページの「ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ」にまとめられています。本人や家族が「ギャンブル等依存症かもしれない」と思い当たる人は、ぜひ参考にしてください。

*平成29年度日本医療研究開発機構「国内のギャンブル等依存に関する疫学調査(全国調査結果の中間とりまとめ)」による