平均寿命は男性81.25年・女性87.32年で過去最高に。健康寿命の延伸が重要
日本人の平均寿命は男女ともに延び続け、世界で男性3位、女性2位を維持
わが国の男性の平均寿命は81.25年、女性は87.32年となり過去最高を更新――。これは、厚生労働省が先日(2019年7月30日)公表した「簡易生命表」の平成30年版によるものです。前年よりも男性は0.16年、女性は0.06年の平均寿命が延びており、男女差もさらに縮まりました。
平均寿命の国際比較では、男性は前年に続いて第3位(第1位:香港82.17年、第2位:スイス81.4年)。女性も前年に続き、第2位(第1位:香港87.56年、第3位:スペイン85.73年)となっていました。
3大疾病での死亡確率が年々低下しており、平均寿命延伸に寄与
さらに、同統計では毎年、死因別死亡確率を算出しています。死因別死亡確率とは、「ある年齢の者が将来どの死因で死亡するかを計算し、確率の形で表した」ものです。
2018(平成30)年の死因別死亡確率をみると、その時点で0歳の人の将来の死亡確率は男女とも「悪性新生物<腫瘍>」(がん)が最も高く、次いで、男性は「心疾患」(心臓病)、「肺炎」、「脳血管疾患」(脳卒中)、女性は「心疾患」「脳血管疾患」「肺炎」の順になっていました。一方、90歳の人では男女とも「「悪性新生物<腫瘍>」(がん)が「心疾患」が上回り、次いで「肺炎」、「脳血管疾患」の順となっていました。
前年と比較すると、「悪性新生物<腫瘍>」の死亡確率は、男女とも0歳、65歳で低下しており、「脳血管疾患」「肺炎」の死亡確率は、男女ともに0歳、65歳、75歳及び90歳のすべての年齢で低下していました。一方、「心疾患」は男性では0歳、65歳、75歳及び90歳のすべての年齢で上昇しており、女性では90歳で上昇していたほかは低下していました。
3大疾病とされる「悪性新生物<腫瘍>」「心疾患」「脳血管疾患」をあわせた死亡確率は、男女ともに0歳、65歳、75歳及び90歳のすべての年齢で年々低下傾向にあり、これらが平均寿命の延伸に影響していると考えられます。とはいえ、3大疾病での死亡確率は0歳男性で50.06%と半数を超えており、0歳女性でも45.52%という状況です。
健康寿命の延伸が重要。ロコモ、フレイル予防にも努めよう
さらに同統計では、前述の主要な各死因について、それらの死因を除去した場合の平均余命の延び(それらの死因で死亡することがなくなった場合に、どれだけ死亡時期が延びるか)についても算出しています。「悪性新生物<腫瘍>」「心疾患」「脳血管疾患」のすべてを除去した場合の平均余命の延びは、0歳では男性 6.70 年、女性5.55 年、90 歳 でも男性 1.72 年、女性 1.85 年となっていました。
しかし、ほかに健康上の問題があり日常生活が制限されていた場合、寿命が延びたとしても、その期間は介護を必要とする不健康な期間といえます。世界有数の長寿国であるわが国では、平均寿命よりも健康寿命の延伸が重要課題とされています。
一人ひとりが適切な生活習慣と健診・検診受診を心がけて、生活習慣病のみならずロコモ(ロコモティブシンドローム、運動器症候群)、フレイル(心身の虚弱)の予防・改善にも努めることが大切です。