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致死率の高い「エボラ出血熱」。中央アフリカへの渡航は避け、感染拡大に注意

致死率の高い「エボラ出血熱」。中央アフリカへの渡航は避け、感染拡大に注意

感染拡大中のコンゴ民主共和国にWHOが緊急事態宣言。発症者は1年で2,619人に

中央アフリカのコンゴ民主共和国では昨年(2018年)8月から、エボラ出血熱のアウトブレイクが宣言されています。今年7月からさらに感染が拡大し、7月17日に世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。それにともない翌18日に、わが国の外務省が、コンゴ民主共和国全域の感染症危険レベルをレベル2の「不要不急の渡航は止めてください」に引き上げたことを発表しました。なお、コンゴ民主共和国のなかでも、特にエボラ出血熱が発生している北キブ州とイツリ州には、危険レベルがもっとも高いレベル4の「退避勧告」が出されています。

同国ではアウトブレイク後から今年7月31日までの約1年間で2,619人がエボラ出血熱発症確定、94人が高度疑いとなっており、1,823人の死亡が確認されています。

*アウトブレイク:ある一定期間に、特定の場所で通常よりも多く感染症患者が発生すること。

患者の血液や分泌物、吐物、排泄物などから感染。進行が早く、致死率が高い

エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症で、以下のような特徴があります。

発症:感染すると2~21日(通常は7~10日)の潜伏期間後に、突然の発熱、頭痛、倦怠(けんたい)感、筋肉痛、のどの痛みなどの症状が現れる。その後、嘔吐や下痢、胸の痛み、出血(吐血や下血)などの症状が現れる。

経過:進行が速く、悪化すると全身に出血傾向が見られて死に至ることがある。

感染:患者の体液(血液や分泌物、吐物、排泄物など)や、それらに汚染された注射針などの物質に触れた際に、傷口や粘膜からウイルスが侵入することで起こる。エボラウイルスに感染した野生動物やその死体、生肉に直接触れたことで感染することもある。

治療:現在、有効な治療薬がなく、それぞれの症状に対する治療(対症療法)を行う。

予防:現在、有効なワクチンはないが、感染力は必ずしも強くないため、アルコール消毒や石けんなどを使用して十分に手洗いすることで予防可能。エボラ出血熱の患者さんや感染が疑われる人、動物、それらの体液との接触を避けることが重要。

一般的に、症状のない患者からの感染や空気感染、インフルエンザのような飛沫感染(咳やくしゃみなどのしぶきに含まれたウイルスを吸い込むことによる感染)はありません。ヒトからヒトへの感染は、患者さんの看護や葬儀の際に、家族や医療従事者が体などに接触することで起きると報告されています。

流行国への渡航はできるだけ避け、発生地域から帰国した際は検疫所に申告を

日本国内では今年8月8日現在、まだエボラ出血熱の発生はありません。今月、コンゴ民主共和国滞在歴のある女性が帰国後に発熱したため、エボラ出血熱の遺伝子検査を行いましたが、陰性であることがわかっています。しかし、2014年に欧米諸国で感染事例が確認されたことがあり、厚生労働省では「国内で患者が発生する可能性はゼロではない」としています。国内での流行を防ぐためには、発生国であるコンゴ民主共和国およびウガンダ共和国への渡航はできるだけ避けることが大切です。

コンゴ民主共和国およびウガンダ共和国からの帰国者は、必ず検疫所に申告しましょう。また、エボラ出血熱にかかわらず、特にアフリカ地域などからの帰国後に発熱などの症状がある場合も、医療機関を受診する前に最寄りの検疫所に相談するようにしましょう。

なお、各感染症の最新の発生状況は、厚生労働省検疫所や外務省の海外安全情報のホームページから確認することができます。