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激しいめまいや耳鳴りが起こるメニエール病。聴力維持のためにも早めの受診を

激しいめまいや耳鳴りが起こるメニエール病。聴力維持のためにも早めの受診を

耳の奥に過剰に水分がたまることで発症し、めまいに耳鳴りや難聴が伴う病気

今月(2019年10月)上旬、30代前半の女性歌手が「メニエール病」を公表し、それによる活動制限が報じられました。メニエール病は、グルグルと自分や世界が回っているような回転性の激しいめまい発作が起こり、さらに耳鳴りや難聴、耳閉感(耳が詰まった感じ)などを伴う病気です。めまいの持続時間は10分程度から、長い場合は数時間ほどにもなり、吐き気を誘発するなど日常生活に支障をきたします。

30~40歳代に多いとされていますが、最近では60~70歳代の患者さんも増えています。男女比ではやや女性に多く、厚生労働省の「平成29年患者調査」によると、総患者数は約5万9千人と報告されています。ストレスや過労、睡眠不足がきっかけで発症したり、女性では月経の時期とかかわっていることもあります。

生活習慣改善、薬物療法が中心。改善しない場合は中耳加圧療法や手術も

メニエール病は、耳の奥の内耳(ないじ)にあるリンパ腔(くう)に過剰に水分がたまることによって起こります。残念ながら完治することは難しく、主に生活習慣の改善や薬物療法によって、日常生活に支障のないようにコントロールしながら付き合っていくことになります。

生活習慣の改善で大切なのは、十分に睡眠をとることや疲れをためないことです。有酸素運動を行うことや、水分を多くとることもすすめられます。また、食事では塩分をとりすぎないように注意が必要です。

薬物療法ではめまいの発作を抑える薬や血液循環をよくする薬、水分の排泄を促す利尿薬などが使われます。また、それらの治療法で症状の改善が見られない患者さんに対し、2018年に保険適用となった「中耳加圧療法」という治療法もあります。これは、耳鼻咽喉科専門医から医療機器を借りて、患者さんが毎日2回、3分間ずつ自宅で行うものです。装置から出た圧波(圧力)を、チューブとイヤホンを経由して耳の奥に送ることで、たまったリンパ液を押し出すという治療法です。痛みはなく、治りにくかった人への効果が期待されています。

中耳加圧療法を行ってもめまいが繰り返し起こる場合や聴力の急激な低下があるときには、手術が行われる場合があります。

めまいを繰り返すと難聴のおそれが。メニエール病と似たほかの病気にも注意

メニエール病の発作は、繰り返し起こると難聴が進んで聴力を失うおそれもあるため、めまいが10分以上続くような場合や何度も起こる場合は、早めに受診したほうがよいでしょう。

なお、めまいに加えて耳鳴りや難聴が起こる病気には、メニエール病のほかに、突発性難聴や前庭神経炎などがあります。また、顔や手足のしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見えるといった症状もある場合は、脳卒中や脳腫瘍のような命にかかわる脳の病気の可能性もあります。総務省消防庁の「Q助」や、「救急安心センター事業(#7119)」などを参考に、救急車の手配も検討しましょう。