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全部位の5年相対生存率は64.1%に。「全国がん罹患モニタリング集計」公表

全部位の5年相対生存率は64.1%に。「全国がん罹患モニタリング集計」公表

現時点で、国や各都道府県のがん対策の立案・評価に使われる最新の集計

今月(2020年4月)中旬、国立がん研究センターでは、地域がん登録データを活用した2009年から2011年の診断症例の5年相対生存率を、「全国がん罹患モニタリング集計」として公表しました。

本集計は、日本のがん患者さんの生存率を、住民ベース(国や都道府県などで発生した全診断症例について情報を収集すること)で計測した幅広い医療機関を含んだ統計です。日本では現在、2016年から施行された「がん登録等の推進に関する法律(がん登録推進法)」に基づき、がんの実態を把握するためのデータベースとして「全国がん登録」が進められています。しかし、2009年から2011年の診断症例の5年相対生存率については、全国がん登録の集計よりも本集計が先んじており、国や各都道府県のがん対策の立案・評価に有用な指標とされます。

また、集計対象地域が拡大(前回の27地域から36地域に)したことから、国立がん研究センターでは「精度が向上したことにより、従来に比べ偏りと過大評価の可能性が少ない生存率の算出」ができたと報告しています。

早期発見症例や比較的治りやすいがんの増加などが生存率向上に影響

今回公表された全部位の5年相対生存率は、男性62.0%、女性66.9%となっており、前回(2006-2008年診断症例集計)よりもいずれも向上しています。男女計は64.1%で、前回の62.1%を2ポイント上回りました。ただし、前回集計と一部集計対象地域が異なるため、単純な比較は難しいとされています。

部位別に見ると、男性の罹患数上位3部位の生存率は、「胃がん67.5%」「前立腺がん99.1%」「肺がん29.5%」となっており、生存率が高い(70~100%)群に含まれる部位は、前立腺、皮膚、甲状腺、喉頭、膀胱、結腸、直腸、腎・尿路(膀胱除く)となっていました。また、女性の罹患数上位3部位の生存率は「乳がん92.3%」「胃がん64.6%」「結腸がん69.4%」で、生存率が高い(70~100%)群に含まれる部位は、甲状腺、皮膚、乳房、喉頭、子宮体部、子宮頸部、直腸となっていました。

また、進行度別分布割合をみると、全部位の限局(がんが最初に発生した臓器にとどまっている)症例は44.1%で全体の4割以上を占めており、前回よりも約4ポイント上昇していました。多くの部位で限局症例の生存率が高いことや、全体的に生存率が改善傾向であることから、「早期発見の重要性が確認できるとともに、標準治療の普及や診断・治療技術の進歩が影響していると推測される」と報告されています。

また、それらの治療の進歩に加え、前立腺がんや乳がんなどの比較的予後がよいがんの罹患数が増加したこと、罹患年齢の変化などの影響、一般的な健康状況の改善などが、全部位の生存率上昇にかかわっていることが示唆されています。

日本人が一生のうちにがんにかかるリスクは、男性63%、女性48%と、およそ2人に1人です(国立がん研究センターがん情報サービスの「がん登録・統計」累積罹患リスクによる)。私たち一人ひとりが、必要ながん検診受診を心がけるとともに、科学的根拠に基づいた「日本人のためのがん予防法」(関連記事参照)に従い生活習慣を見直し、がんの予防と早期発見に努めましょう。