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さまざまな病原体によって起こる肺炎。喫煙者は特に要注意

さまざまな病原体によって起こる肺炎。喫煙者は特に要注意

新型コロナウイルス流行前から、年間10万人近い日本人が肺炎で死亡

肺炎は、かねてから世界各地で多く発生し、主な死因となっている感染症です。日本においても死因の第5位となっており、年間約9万5000人もの人が亡くなっています(厚生労働省「平成30(2018)年人口動態統計(確定数)の概況」)。

肺炎にはさまざまなものがあり、分類方法も複数ありますが、病原体の種類による分類では、コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどが原因の「ウイルス性肺炎」、肺炎球菌などの細菌が原因の「細菌性肺炎」、マイコプラズマやクラミジアなどの非細菌性微生物が原因「非定性肺炎」に分けられます。

単なるかぜの場合は、主に鼻やのどなどに病原体が感染して炎症を起こしますが、肺炎の場合は、肺の中の気管支や、気管支の周囲の肺胞に感染して炎症を起こします。症状は病原体によって多少異なるものの、発熱やだるさ、食欲不振といった全身症状に加え、咳やたん、胸の痛み、息苦しさなどの呼吸器の症状がみられます。重症の場合には呼吸困難や意識障害、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青色になる)が起こって命にかかわることもあります。

薬物療法が中心。抗菌薬は指示された量と期間を守って服用を

ウイルス性肺炎の場合は、効果的な抗ウイルス薬があるものはインフルエンザ等ごく一部にかぎられるため、症状を抑える薬で経過をみることになります。

細菌性肺炎や非定性肺炎では、抗菌薬や抗真菌薬などによる治療が中心となります。通常用いられる抗菌薬が効かない「耐性菌」が増えてきているため、治療の効果がみられないときは、異なる抗菌薬に切り替えることがあります。しっかりと治すためだけでなく、耐性菌を増やさないためにも、抗菌薬は指示された量と期間を守って服用することが大切です。

なお、重症の人は多くの場合入院治療となり、薬物治療のほかに、酸素療法や人工呼吸器による呼吸管理が行われます。高齢者や基礎疾患のある人も急速に進行しやすいため、入院となることがあります。

治りきらないかぜ、インフルエンザは肺炎のことも

38度以上の発熱や強い咳が3~4日以上続いておさまらない、どろっとした黄色や緑色のたんが続く、胸の痛みや息苦しさがあるといった場合は、肺炎にかかっているおそれがあります。新型コロナウイルス流行中の時期は、あらかじめ医療機関に連絡したうえで受診しましょう。また、一度かぜやインフルエンザの診断を受けていても、処方された薬で症状がおさまらないようなときには、再度の受診を検討しましょう。

肺炎の予防のためには、他の感染症と同様、せっけんを使ったこまめな手洗い、うがいを徹底することが重要です。また、毎年インフルエンザ流行期前にはインフルエンザワクチンを、高齢者は肺炎球菌ワクチンを打っておくことも忘れないようにしましょう。

なお、たばこを吸う人は、吸わない人に比べて肺炎にかかる確率が2倍、肺炎で亡くなる確率も1.2~1.6倍とされています。喫煙者はすぐに禁煙し、家族や周囲に喫煙者がいる人は受動喫煙を避け、喫煙者に禁煙を勧めましょう。