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コロナ禍の自殺対策。悩みを抱えた人の孤立を防ぎ、支えよう

コロナ禍の自殺対策。悩みを抱えた人の孤立を防ぎ、支えよう

今年7月から増加傾向の自殺者数。8月は前年同月比251人増の1,854人

国内の自殺者が増加傾向にあります。警察庁の暫定値によると、今年(2020年)8月中の自殺者数は1,854人に上り、前年の8月より251人増えています。全国の自殺者は前年までは10年連続で減少し、今年に入ってからも1~6月の自殺者数は前年同期に比べて減っていました。しかし、7月には増加に転じ、8月には最多となりました。男女別でみると、男性は前年より6%増ですが、女性は40%も増えています。

長引くコロナ禍で、感染への恐怖や制限の多い日常にストレスを感じている人は多く、雇用環境の悪化に将来への不安を抱える人も増えています。コロナ禍の収束が見えないなかで、失業などで困窮する人はさらに増える恐れがあります。また、人との接触を減らす新しい生活様式の影響で、孤立を深めているケースもあるでしょう。

厚生労働省は先ごろ、ホームページに「生きづらさを感じている方々へ」と題したページを公開しました。一人で悩みを抱え込まずに、まずは家族や友人、職場の同僚など身近な人へ相談することや、難しい場合は公的機関へ相談することを促しています。

「いつもと違う」と気づいたら、まずは声かけを

WHOの自殺予防の手引きによると、自殺の危険が高い人の心理状態には、「生きたい」と「死にたい」という相反する願望が激しく揺れ動く「両価性」、「衝動性」、思考や感情、行為の幅が狭くなる「頑固さ」の大きく3つの特徴があるといいます。自殺リスクが高い人への接し方でカギとなるのが、相手の訴えに真摯な態度で耳を傾ける「傾聴」です。直接会えなくても電話やネットで家族や友人らが声を掛け合い、しんどいと感じている人の小さな変化を周囲が見逃さないことが大切です。

もしも、いつも顔を合わせる人に最近元気がないなどの変化を感じたら、まずは「どうしたの?」「よく眠れている?」などと声をかけてみましょう。周囲が手を差し伸べ、話を聞くことが、結果として自殺を考えた本人がそれを乗り越えられることにつながるかもしれません。また、うつ病などの心の病気などが疑われる場合は、早めに医療機関やカウンセラーなど専門医への相談につなげることが大事です。

大切な人の悩みに気づき、支えるゲートキーパーになろう

自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(声かけ・傾聴・つなぎ・見守り)をするには、1人一人がゲートキーパーとしての心得を身につけておくことが重要です。ゲートキーパーとは、言わば「命の門番」とも位置付けられ、地域の医師や保健師をはじめ、行政などの相談窓口、家族や同僚、友人といったさまざまな立場の人達がゲートキーパーの役割担うことが期待されています。厚生労働省のホームページでは「ゲートキーパー養成研修用テキスト」と「誰でもゲートキーパー手帳」の2種類のテキストがダウンロードできます。

ゲートキーパーの心得(『誰でもゲートキーパー手帳』より抜粋)

  • 自ら相手とかかわるために心の準備をしましょう
  • 温かみのある対応をしましょう
  • 真剣に聴いているという姿勢を相手に伝えましょう
  • 相手の話を否定せず、しっかりと聴きましょう
  • 相手のこれまでの苦労をねぎらいましょう
  • 心配していることを伝えましょう
  • わかりやすく、かつゆっくりと話をしましょう
  • 一緒に考えることが支援です
  • 準備やスキルアップも大切です
  • 自分が相談にのって困ったときのつなぎ先(相談窓口等)を知っておきましょう
  • ゲートキーパー自身の健康管理、悩み相談も大切です