11月14日は世界糖尿病デー。糖尿病の理解を深め、生活習慣の見直しを
世界の4億6,300万人が糖尿病患者。日本でも予備軍を含むと約2,000万人
11月14日の世界糖尿病デーは、世界に広がる糖尿病の脅威を周知するために、1991年にIDF(国際糖尿病連合)とWHO(世界保健機関)が制定し、2006年に国連により公式に認定されました。
IDFによると、2019年時点での糖尿病有病者数は4億6,300万人に上り、これは世界の成人(20~79歳)の11人に1人に相当します。今後も爆発的に増え続けると予想されており、2045年には約7億人に達すると試算されています。
日本においても、糖尿病を強く疑われる人は約1,000万人に及び、さらに糖尿病の可能性を否定できない人とあわせると、総人口の15%を超える約2,000万人と推定されています*。
糖尿病の本当の恐ろしさは、自覚症状がないまま進行し合併症を引き起こすこと
そもそも、糖尿病とは血液中に含まれる糖分である血糖の量(血糖値)が、何らかの原因で高いままである状態をいいます。食後は血糖値が上昇しますが、通常はインスリンというホルモンの働きによって血糖値は下がります。しかし、何らかの原因でインスリンの分泌が低下したり、分泌されたインスリンがうまく働かなかったりすると、食事からとったブドウ糖がうまく処理されなくなり、血液中にたまって血糖値が高い状態が続きます。この状態が糖尿病です。
糖尿病は大きく分けて1型と2型の2つのタイプがあり、1型はウイルス感染などが原因で、患者数は少数です。いわゆる生活習慣病とされるのは2型糖尿病で、日本の糖尿病患者の大部分を占めています。
糖尿病は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに合併症を引き起こすことがある怖い病気です。網膜症、腎症、神経障害の「三大合併症」のほか、心筋梗塞や脳卒中、歯周病などさまざまな病気のリスクを高めることがわかっています。
糖尿病の三大合併症
- 糖尿病性網膜症
眼底の血管の障害を引き起こし、物が見えにくくなります。最悪の場合、失明することもあります。 - 糖尿病性腎症
腎臓機能の障害を引き起こし、たんぱく尿やむくみがあらわれます。進行すると腎性腎不全になり、人工透析が必要になることもあります。 - 糖尿病性神経障害
末梢神経の障害を引き起こし、足のしびれや痛み、便秘、排尿障害や立ちくらみなど、全身にさまざまな症状をもたらします。
特に注意が必要なのが、足の感覚神経の麻痺によるやけどやけがです。
第1段階:足のしびれ ⇒第2段階:足の神経が麻痺 ⇒最終段階:壊疽を起こし、足の切断を余儀なくされることも
糖尿病の理解と予防に向けた一歩を踏み出そう
糖尿病の最大の危険因子は、過食・多量の飲酒・運動不足・喫煙・ストレス・肥満などの悪しき生活習慣です。過食・早食いをしない、適度な運動を習慣づける、喫煙者は禁煙するなど、生活習慣を改善することが糖尿病予防の近道です。
11月14日の世界糖尿病デーを機会に、ぜひみなさんも、ご自分やご家族と一緒に糖尿病について考え、予防に向けた一歩を踏み出しましょう。「あのとき早めに治療していれば…」といったことにならないよう、ぜひ健診で高血糖の指摘を受けたら、生活習慣の改善や早期治療を始めましょう。
参考文献
- * 平成28年(2016年)国民健康・栄養調査(厚生労働省)