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マスク生活による「かくれ脱水」も。乾燥対策と水分補給を心がけて

マスク生活による「かくれ脱水」も。乾燥対策と水分補給を心がけて

乾燥する冬は水分補給不足や感染症などによって、脱水症状になりやすい

今年(2020年)は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、日ごろからマスクの着用が当たり前になりました。冬はのどの渇きを感じにくいうえ、さらにマスクの着用で以前より水分をとらなくなった人も多いのではないでしょうか。暖房の効いた乾燥した環境では、皮膚や呼吸から水分が蒸発する「不感蒸泄」(ふかんじょうせつ)が多くなります。水分が失われると血液の濃度が濃くなり、ドロドロの状態になります。この状態が長く続くと血管が詰まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性が高まります。

さらに、冬はノロウイルスなどの感染性胃腸炎やインフルエンザが流行します。胃腸炎は嘔吐や下痢が主な症状で、体から水分が失われます。インフルエンザなどで高熱が出た場合は発汗するため、脱水症状に陥りやすくなります。このように、日常的な脱水に加え、感染症によって生じる脱水症のリスクには特に注意が必要です。

小児と高齢者には、脱水症状にならないよう周囲の人が特に気を配る

冬の脱水症を防ぐためには、何よりもまずは水分補給を怠らないことが大切です。暖房の効いた部屋で長時間過ごすときは、のどの渇きを感じる前に、こまめに水分をとりましょう。日常の脱水予防には、温かい白湯など、体を温めつつ水分を補える飲料を飲むだけで十分です。

しかし、高熱で大量の汗をかいたときや、感染症にかかって嘔吐や下痢の症状があるときは、水分とともにナトリウムやカリウム、ミネラルなどの電解質も失ってしまうため、スポーツドリンクや経口補水液を少量ずつゆっくり飲みましょう。

脱水症に関して特に注意が必要なのが、小児と高齢者です。小児は、水分や電解質の再吸収が行われる腎機能が未発達で、成人に比べて水分の出入りが多いことから脱水症になりやすいという特徴があります。また、乳幼児は自分の意志で水分補給ができないため、周囲の大人が定期的に水分を与えるようにしましょう。

一方、高齢者はのどの渇きを自覚しにくかったり、普段の食事量が不足しがちな傾向が強く、日ごろから脱水症になりやすい状態といえます。高齢者は嚥下機能が低下している場合もあるため、ゼリータイプの経口補水液を準備しておくとよいでしょう。

日ごろからできる乾燥対策

  • こまめに水分をとる
    起床時、食事中、10時、15時、入浴後、就寝前など、時間を決めて、意識的に水分をとる回数を増やしましょう。ただし、アルコールや紅茶・コーヒー等のカフェインを多く含む飲料は、利尿作用があるためとり過ぎには注意が必要です。
  • 室内の湿度を保つ
    加湿器や洗濯物の部屋干しなどで、室内の湿度を20~60%に保ちましょう。室内でも暖かい服装を心がけ、過度な暖房に頼らず20度を目安に室温を保つと、皮膚や呼吸から失う水分量も減ります。
  • 3食しっかり食べる
    食事から水分を摂取することも大切です。まずは3食の食事をしっかりととるようにしましょう。水分やミネラルを豊富に含むほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜、りんごやみかんなどの旬の果物を食べましょう。この季節は温かい鍋物や雑炊などもおすすめです。
  • 手洗い・うがい、マスクの着用も引き続き励行
    新型コロナウイルスだけでなくインフルエンザなどの感染症対策にも、手洗いやうがい、マスクの着用が有効です。