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女性が多量飲酒すると乳がんリスクが約1.7倍に上昇

女性が多量飲酒すると乳がんリスクが約1.7倍に上昇

日本人女性の飲酒と乳がん罹患リスクの関係が明らかに

2021年1月、女性が習慣的に多量飲酒を続けると、乳がんの発症リスクが最大で1.74倍に上昇するという調査結果が発表されました。過度の飲酒ががんの発症リスクを高めることはこれまで知られていましたが、今回の研究は約16万人の日本人女性を対象に行った初めての大規模な調査研究といえます。

研究は、愛知県がんセンターがん予防研究分野と国立がん研究センターなどが共同で実施したもの。研究グループは、日本人女性における飲酒習慣と乳がんリスクの関係を明らかにするために、日本で実施された大規模な8件のコホート研究*1に参加した30~60代の健康な女性15万8,164人のデータをプール解析*2しました。

*1コホート研究:ある要因のある集団(コホート)とない集団を長期間追跡し、それぞれにどれだけ病気が発生するか調べる研究。

*2プール解析:複数のデータを合わせる(プールする)ことで、非常に大きなデータを作り、解析を行う研究手法。

多量飲酒の女性は乳がんリスクが1.74倍に上昇

飲酒習慣を頻度と量に分けて検討し、頻度は「現在非飲酒」「機会飲酒(週1日以下)」「ときどき(週1日以上4日以下)」「ほとんど毎日(週5日以上)」の4つのカテゴリーに、量は1日飲酒量で純アルコール換算で「0g」「0~11.5g」「11.5~23g」「23g以上」の4つのカテゴリーにそれぞれ分類して比較しました。純アルコール20gは、ビール(アルコール度数5%)で約500mL、ワインで1/4本(180mL)、缶チューハイ(アルコール度数7%)1缶(350mL)、日本酒で約1合に相当します。

調査の結果、2,208人(約1.4%)が乳がんを発症しました。乳がんになったグループの飲酒率は78.5%と、かなり高くなっていました。

調査時の閉経状態に基づき分類した「閉経前乳がん」では、最も頻度の高い飲酒者のグループは非飲酒のグループに比べ、乳がんリスクは1.37倍に上昇しました。

飲酒量をみると、純アルコール換算で1日23g以上飲んでいるグループは、全く飲まないグループに比べ、乳がんリスクは1.74倍に上昇しました。

さらに、飲酒の頻度、量ともに増加すればするほど、乳がんリスクは高くなる傾向がみられました。一方で、閉経後の女性では飲酒頻度、飲酒量ともに乳がんリスクとの関連はみられませんでした。

過剰なアルコール摂取が女性ホルモンの濃度を上昇させる

これらの結果から、日本人女性の閉経前乳がんでは、アルコールが乳がん罹患リスクを上昇させることが明らかになりました。 飲酒と乳がんリスクの関係についてのこれまでの研究で、過剰なアルコールの摂取が女性ホルモンであるエストロゲンの濃度を上昇させることがわかっています。また、アセトアルデヒド、活性酸素といったアルコール代謝物に発がん性があり、乳がんのリスクを上昇させます。

閉経後の女性で乳がんが少なかった理由としては、研究に参加した女性のうち、閉経後で飲酒習慣のある人の割合が少なく、それにより飲酒の影響が出にくかった可能性などが考えられます。

研究グループは、「乳がん予防のためには、若いころから飲酒を控えることが重要」と強調しています。飲酒習慣がある人は適度な量にとどめる、休肝日をつくるなどして、お酒はなるべく控えめにしましょう。また、飲酒習慣の有無にかかわらず、定期的に乳がん検診を受けることも大切です。