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かつて亡国病ともいわれた結核。今こそ注意を

かつて亡国病ともいわれた結核。今こそ注意を

世界的にみても、現代の日本の結核患者数は多い

結核は、1950年以前の日本人の死因トップで、年間死亡者数も10数万人に及び「国民病」「亡国病」と恐れられていた感染症です。第二次世界大戦後、抗菌薬の開発やBCGワクチンの普及、生活水準の向上により、「流行は終わった」「過去の病気」と思われていますが、結核は消滅したわけではありません。

日本ではいまだに年間約1万人以上が結核を発病し、約2,000人が亡くなることから、世界保健機関(WHO)では、日本を結核の「中蔓延(ちゅうまんえん)国」と位置づけています。また、2019年の人口10万人当たりの新規登録患者数は日本が11.5人で、10人を切っているアメリカ(3人)、ドイツ(同5.8人)、イギリス(同8人)など先進諸国に比べても高い水準となっています(結核研究所 疫学情報センター年報2020年より)。

結核は、高齢者だけでなく若年層にも増えている

結核を発病する人が減らない理由の1つは高齢化です。現在、日本国内で結核を発病して亡くなる人の大半は、75歳以上の高齢者です。1950年代以前の結核菌が広まっていた時期に感染した人が、発病しないまま長い年月を過ごし、加齢や合併症に伴い免疫機能が低下したことにより発病するケースが多くあります。

また、近年は高齢者だけでなく、20~30代の発病も少なくありません。若い世代は今まで結核菌にさらされることなく過ごしてきたため、他の世代よりも感染・発病の危険性が高いとされています。大都市には若年層が多く流入し、仕事や留学などのために海外からきた人が、結核を発病するケースも増えています。結核は、結核患者の発した咳やくしゃみなどに含まれる結核菌を吸い込む空気感染で広がります。空調換気の悪いせまいインターネットカフェやカラオケなどは、結核菌が長く滞留するため、知らないうちに感染してしまう可能性が高いといえます。

咳やたんなどの長引く呼吸器症状に注意

結核の初期症状は咳やたん、微熱などでかぜとよく似ています。このような症状が2週間以上続くようなら、結核を疑い医療機関を受診するか、保健所に問い合わせましょう。

結核を発病した場合、きちんと治すには複数の薬を最短6カ月程度内服することが必要になります。これは、やがて薬が効かなくなる耐性菌の発生を防ぐためです。なお、治療にかかる費用は、公費の補助を受けることができます。

結核に限らず病気の予防には、栄養バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動など、普段から健康的な生活を心がけ、免疫力を高めておくことが大切です。過労や睡眠不足、不規則な生活習慣、無理なダイエット、喫煙などは、体の抵抗力を弱めるので、発病のリスクを高めます。

抵抗力の弱い乳幼児は、結核に感染すると重症化しやすく、命の危険もあります。予防のためにはBCG接種が有効ですので、市区町村からの案内に従って、なるべく生後5カ月から8カ月の間(遅くとも生後1年)に接種しましょう。

成人は、結核に限らずさまざまな疾患の早期発見のために、胸部エックス線検査を定期的に受診することが重要です。