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コロナ禍での受診控えにより、がんの診断件数などが減少

コロナ禍での受診控えにより、がんの診断件数などが減少

コロナ禍でがんの診断件数が減少。進行がんの発見が増えるおそれも

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、がん検診の受診率低下が問題視されています。2021年11月4日に公益財団法人日本対がん協会が公表した調査結果では、2020年のがん診断件数は8万660件で、2019年の8万8,814件より8,154件(9.2%)減少したことが明らかになりました。

この調査は、同協会とがん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)が国内486施設を対象に、5つのがん(胃、大腸、肺、乳、子宮頸)の診断数などについてアンケートを実施したもので、105施設から回答を得られました。アンケート結果から、がん診断件数、治療数(外科的・鏡視下的)が減少していることや、進行期別では早期がんの減少が目立つことが明らかになりました。同協会では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によって、がん検診をはじめ各種検診が一時中断されたことに加え、受診控えや通院控えなどで検診受診者や通院者が減ったことが影響していると分析しています。

さらに、がんに罹患する人の割合は2019年、2020年でほぼ変わらないと考えられるため、2019年と同じように検診や通院ができていれば発見できたがんが約9%あったと推測されます。また、早期がんの診断件数の減少が顕著だったことに加え、進行期のがんの差は両年で差が少なかったものの、がんの種類によっては2020年のほうが多かったこともあり、今後、進行期のがんの発見の増加が懸念されます。

コロナ禍でも、適切なタイミングでがん検診を受診することが重要

また、2021年11月26日には、国立がん研究センターが「院内がん登録2020年全国集計」報告書を公表しました。報告書には、国が指定するがん診療連携拠点病院等を含む院内がん登録実施病院863施設の状況がまとめられており、前年と比較すると全登録数(新規にがんの診断や治療を受けた例)が約6万件減少したことが示されました。

報告書では、がん検診での発見例の登録数と、自覚症状などがん検診以外での発見例の登録数がともに減少していることから、一定の受診控えが生じていた可能性が考えられるとしています。また、「適切なタイミングでがん検診を受診すること、症状があった場合には、適宜医療機関を受診できるようにすることが重要」と強調しています。

がん検診により早期発見できれば、治療の選択肢も広がり治りやすい

がんの多くは、進行すると他の臓器や組織まで広がっていく浸潤(しんじゅん)や、離れた臓器への転移を起こします。がんが進行すると、大きな手術や抗がん薬の使用など、体に負担のかかる治療が必要になります。一方、早期発見により早めに治療を開始できれば、治療の選択肢も広がり、体に負担の少ない治療も可能です。

がん検診を定期的に受けることで、自覚症状が出る前の早期がんの段階で治療につながり、がんによる死亡率を下げることができます。がんの早期発見をめざし、コロナ禍であってもがん検診を定期的に受けるようにしましょう。