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食物繊維を多くとる人は認知症の発症リスクが低下する

食物繊維を多くとる人は認知症の発症リスクが低下する

食物繊維の摂取量と要介護認知症の発症を調査

穀類やいも類、野菜、果物などに多く含まれる食物繊維は、腸内環境に影響を与えることが知られています。近年、腸内環境が認知機能にも関与している可能性が、国立長寿医療研究センターの研究などにより示されています。

そこで、筑波大学の研究チームは、日本人の健康に関する大規模コホート研究(CIRCS研究:地域における循環器リスク研究)を実施している秋田、茨城、大阪の3地域の住民のうち、1985~1999年の間に健診時に実施した栄養調査に参加した40~64歳の3,739人を対象に、1999~2020年までの最大21年間にわたって追跡調査を行いました。その間に発症した要介護認知症者を登録し、聞き取りによる食事調査も行い、1日の食事中に含まれる食物繊維の量と要介護認知症リスクとの関連を分析しました。

研究では、食物繊維の摂取量に応じて4つのグループに分け、摂取量が最も少ないグループを基準として、要介護認知症リスクを算出しました。

水溶性食物繊維の摂取量が多いと、認知症の発症リスクはより低下

その結果、食物繊維の摂取量が多いグループの人は、少ないグループの人に比べて認知症の発症リスクは0.74倍に減少しました。これは、食物繊維を多く食べる人は、あまり食べない人に比べて認知症になるリスクがおよそ4分の3に減少したことを意味し、食物繊維の摂取が多いほど、要介護認知症の発症リスクが低下する傾向が示されました。この関連は、脳卒中を伴わない認知症でのみみられ、多くはアルツハイマー型認知症と考えられます。

食物繊維には、水に溶ける「水溶性」と、水に溶けにくい「不溶性」がありますが、研究では特に水溶性食物繊維を多くとっている人に、より強いリスクの低下がみられました。

水溶性食物繊維は、ねばねばした形状のものを多く含み、胃腸内をゆっくり移動していくため、糖質の吸収をゆるやかにして食後血糖値の急上昇を抑える働きがあります。また、コレステロールを吸収して、体外にスムーズに排出させる吸着性もあります。

水溶性食物繊維の摂取が、腸内細菌の構成によい影響を与えて、神経炎症を改善したり、ほかの認知症の危険因子を低下させることによって、認知症の発症リスクが低下した可能性が考えられています。研究グループは、「認知症の成因にはまだ不明なことが多く、1つのコホート研究の結果だけで因果関係を断定することはできないが、今回の研究結果は認知症予防につながる知見の1つといえる」としています。

毎日の食事で、食物繊維を積極的にとるよう心がけよう

水溶性食物繊維は、海藻類やいも類、野菜・果物類に多く含まれ、なかでもこんにゃく粉やじゃがいも、大豆、大麦など、野菜では特に枝豆、にんじん、オクラ、大根などに多く含まれています。

第6の栄養素ともいわれ、整腸作用のほかにもさまざまな効果が期待できる食物繊維ですが、現状の食生活ではほとんどの人が摂取不足です。野菜のおかずを1品増やしたり、白米より玄米を選んだりといった、ちょっとした食生活の工夫で、食物繊維は無理なく摂取することができます。毎日の食事で食物繊維を積極的にとるように心がけましょう。