生活習慣の改善で、80歳以降でも寿命が延びることが判明
健康的な生活習慣を実行している人ほど寿命は延びる
大阪大学大学院医学系研究科の研究グループが、「生活習慣を改善することで、80歳以降でも寿命が延び、さらに生活習慣病を多く合併している人ほどその効果が高い」ことを明らかにしました。
これまで、飲酒・運動習慣・喫煙などの生活習慣と死亡リスクとの関係については広く知られていましたが、それらを改善することによる寿命延伸の効果が具体的に「何歳まで」「どの程度」「どのような人に対して」あるのかはわかっていませんでした。
今回、研究グループでは日本全国の40~79歳までの約4万6,000人を対象に、生活習慣と将来の死亡時期の関係を明らかにするため、約20年に及ぶ大規模コホート研究※のデータを分析し、生活習慣改善による寿命延伸効果と、その生活習慣を維持した場合の平均余命を、年齢階級ごとに分析しました。その結果、若いうちに生活習慣を改善するほうがより効果的ですが、男女ともに80歳でも、8つの生活習慣改善項目(下表参照)のうち6項目以上を改善すれば、寿命延伸効果があることがわかりました。
※日本人の生活習慣が、がんや生活習慣病とどのように関連しているかを調べるために約12万人が参加して1988年に開始されたコホート研究「JACCスタディ」
8項目の生活習慣改善内容
1 | 日常的な果物の摂取習慣 | 週に7日以上 |
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2 | 日常的な生鮮・魚介の摂取習慣 | 週に7日以上 |
3 | 日常的な乳製品の摂取習慣 | 週に5日以上 |
4 | 習慣的な運動または歩行 | 週に1時間以上の運動、または1日に30分以上の歩行 |
5 | 適正体重の維持 | BMI21.0~25.0 |
6 | 適量飲酒 | 日本酒換算で1日に2合以下 |
7 | 非喫煙および禁煙 | 喫煙者は禁煙する |
8 | 適正な睡眠時間 | 1日に5.5~7.4時間 |
生活習慣病を多く抱えている人ほど生活習慣改善の効果がある
循環器病、がん、高血圧、糖尿病、腎臓病などの生活習慣病を複数抱えている人ほど効果は大きく、3つ以上の生活習慣病があっても、50歳時で8.7年、65歳時で7.2年、80歳時でも3.8年、寿命が延びる結果となりました。
また、7項目以上の健康的な生活習慣を50代から維持した場合の平均寿命は最大で男性87.7歳、女性で92.5歳となることが推定され、世界有数の長寿国の日本の平均寿命(男性81.64歳、女性87.74歳*)を大きく上回る結果となりました。
今回の研究で、生活習慣の改善は何歳から始めても効果があり、さらに生活習慣病を多く合併している人ほど、ライフスタイルの改善効果が高いことが明らかになりました。今日から少しでも不適切な生活習慣を改め、高血圧や糖尿病などを治療中の人は治療を継続しながら、あわせてライフスタイルの改善を図ることが大切です。
参考文献