9月は「がん征圧月間」。定期的にがん検診の受診を
コロナ禍でがん検診の受診率が減少
日本人は生涯におよそ2人に1人ががんにかかり、およそ4人に1人ががんで亡くなっています。2021年にがんで亡くなった人は38万1,497人で、1981年以降、がんは日本人の死亡原因の第1位です。日本対がん協会は、毎年9月を「がん征圧月間」と定め、がんに関する正しい知識やがん検診の重要性などを訴える集中的な活動期間としています。
5つのがん(胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がん)は、検診を受けることで早期発見でき、死亡率が低下することが科学的に証明されています。しかし、がん検診の受診率は低く、男性でもっとも受診率が高い肺がん検診で53.4%、女性でもっとも受診率が高い乳がん検診で47.4%です(「2019年国民生活基礎調査の概況」より)。
さらに、コロナ感染拡大により受診率が低下しています。日本対がん協会の調べによると、2021年のがん検診受診者は537万6,513人で、コロナ感染拡大が始まった2020年の受診者数(435万4,352人)と比べて23.5%増えましたが、コロナ禍前の2019年の599万4,398人と比べると、61万7,885人(10.3%)減少しています。
2021年と2019年の受診者数をがんの検診別に比べると、胃がんは13.2%減でもっとも減少しており、肺がんは11.0%、乳がんは9.9%、大腸がんは9.0%、子宮頸がんは8.0%とそれぞれ減っています。
コロナ禍でも、定期的にがん検診を受けることが大切
検診施設では、新型コロナの感染を防ぐため、換気や検査機器の消毒、職員の手洗い、マスク着用を徹底し、時間帯別予約や1日当たりの受診者数を制限しています。一般的に、がんは早期に発見できれば治る可能性が高く、発見が遅れるほど治療は難しくなります。新型コロナの感染を心配するあまり、がん検診の受診を見送っていると、早期発見できたはずのがんが進行してしまうこともあります。
がんから命を守るには、がん検診を受けることが欠かせません。あわせて、がんを予防するには、禁煙や適度な運動などの生活習慣の改善も大切です。
下記は、国立がん研究センターがん予防・検診研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」です。日本人を対象に疫学調査などで明らかになっている証拠をもとにまとめられています。ぜひ、自分のライフスタイルをチェックして、改めるべき習慣は改善しましょう。
がんを防ぐための新12か条
- たばこは吸わない
- 他人のたばこの煙を避ける
- お酒はほどほどに
- バランスのとれた食生活を
- 塩辛い食品は控えめに
- 野菜や果物は不足にならないように
- 適度に運動
- 適切な体重維持
- ウイルスや細菌の感染予防と治療
- 定期的ながん検診を
- 身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
- 正しいがん情報でがんを知ることから